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秋の朝3
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いつも通りお兄さんの横に座って
もう秋だなあなんて考えていた。
お兄さんは相変わらず紙を握っていて、毎日、はて?と思うほか無かった。
そんなある日。
手を見てみたら紙を握っていなかった。
お、と思った後に気付く。
手の甲に何かが書かれている。
ごめんねお兄さん、手、見ちゃうね。
お、
兄、
さ、
ん、
起、
こ、
し、
て!
ん?んんん?お兄さん、起こして?
俺?お兄さんって、おれ?
混乱。
ど、どうしようか。
え、どこで起こしたらいいの?
いま?え?お兄さんの駅?
いや、お兄さんの駅どこ?あれ?
混乱。
いいや、もう、なるようになれ。
息を整えて、意を決して。
とんとん、軽く肩を叩く。
....起きないじゃん。
とんとん、おにいさーん。
小さな声で言ってみる。
....起きないじゃないですか。
もう1回だけ、とんとんとんとん。
「........んん」
起きた...?
「お、お兄さん?」
「んー?」
「お、オハヨウゴザイマス」
「はいおはようございます」
むにゃむにゃと話すお兄さん。これは...起きてる...のか?というか、ここからどうしたら良いんだろう何話せば良いんだろう。
「はっ!あっ!お兄さん!起こしてくれたの!うわー!よかった!ありがとう!」
「えっ、いやっ、あのっ、はい」
突然話しだすお兄さん。
びっくりしたー。急に起きたよ。びっくりしたー。それにしてもお互いにお兄さんお兄さんややこしいなこれ。
初めて見た4月から約半年。
これが初めてのちゃんとした会話だった。
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