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冬の朝1
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「おはよう」
「...おはようございます」
朝日さんと毎日話してだいぶ打ち解けたある日いつも通り電車に乗り込むと朝日さんが起きていた。それは初めての出来事で、俺はただ驚いていた。
「どしたんですか?起きてるなんて」
「えへへーがんばったー耐えたー」
にこーっと笑う朝日さんが可愛くて、
つい、ほんとに、つい、
ぽん、と朝日さんの頭に手を置いて
「えらいえらいー」
我に返った瞬間、止まる時間。
固まったまま引っ込められない手。
「.....ぅあ、ご、ごめんなさい!」
ぱっと離す手、朝日さんは固まったままだったけれど急に手で顔を覆って下を向く。
「............っっっああ!2秒!まって!」
「え、あ、はい」
うぅーーーと唸っていた朝日さん。
しばらくしてばっと顔をあげた。
「美月くんは!もう!ほんとに!」
「え、あ、ごめんなさい?」
「ずるいなーもう!」
「えぇ?なにがですか」
「もういいもん!あ!ねえ!美月くんってなんでこんな時間の電車なの?」
無理矢理な話の変え方な気もしたが、よくわからないからまあいいや。
「んーと、ううーん。満員きらいだから?あー朝の空を見たいから?です。」
「空かーいいねー!そら!美月くんぽいわーうんうん」
「朝日さんはなんで?朝苦手でしょ?」
「おれー?おれはねー」
ふふふと言いながら話し出す朝日さん
「ある子に会いにいってんの!」
言われた一瞬、頭が理解しようとしなかった。ある子に会いにいってる。
「....へ、へえー。毎日ですか?」
「うん!そうなの!毎日!」
えへへーと嬉しそうに話す朝日さん。
なんか俺ショック受けてるんですけどー俺わけわかんないんですけどー
「すっげえ可愛くてね!美月くんの話もいっぱいしてるんだけどさー!」
「そ、うなんですか、」
「今度会わせてあげたいなあ」
うんうんと1人で納得してる朝日さん。
いやーちょっと待ってー俺泣きそうだーなんでだーおーい
「いやーそんなお邪魔ですよー」
精一杯、話してみるけどだめだ。
これ、だめなやつだ。
「あ、写メ!写メみる?!」
「いっ、いやいやいやいや!今度!今度で大丈夫!」
そんなん見せられたら俺だめになっちゃう気がするからだめだ。
どうしようどうしようと考えている時に俺の降りる駅に着いた。なんて空気の読める電車なんだ。さすがだ。
「じゃ!また!」
「あ、いってらっしゃい!」
続きを聞かないように逃げるように電車を降りて、いってらっしゃいを言ってくれる朝日さんの顔を見ることが出来なかった。何故だかはわからなかった。
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