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冬の朝6
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無言。
なんで無言なんだろ。
ていうか、朝日さん背高いな。
あ、これ、初めてだ。
初めて朝日さんと歩いてる。
朝日さんの足が止まる。
「そ、そこの、河原で、待ってて」
「はい」
「つ、連れてくるから」
そう言って立ち去る朝日さん。
あの人なんであんな緊張してんの。彼女さん見せるから?そんな大事なのか、彼女さんのこと。
もやもやもやもやと渦巻く感情。
河原に腰かけ、朝日さんを待つ。
きらきらと水が反射する。雲のほぼない青空。凛と張った冷たい空気。冬だ。
明日から電車変えよう。
彼女さん紹介されちゃったら、もう普通に話すなんてたぶん無理だよ。
あー。楽しかったなー。毎日。
音楽を朝に聴かなくなったのはいつからだろう。俺の耳に心地よい声が住み始めて、音楽はいらなくなった。
また、戻るだけだ。
今までの1人の時間に戻るだけだ。
それだけなのに、
なんで、俺は、泣いてるんだろう。
笑わなきゃ。
朝日さんも彼女さんも困るだろ、
笑わなきゃ
「美月くん」
後ろから聞こえる声。
あぁ、タイムリミット。
笑って振り返らなきゃ。
「はい」
笑えるわけないじゃん
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