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「お寿司かぁ…」
学校帰りのこう太も連れて、四人で寿司を食いに行く。
別にこう太も寿司は嫌いじゃないのに、どこか拗ねたような顔になっているから、どうした?って聞いてみると。
「お寿司嫌いじゃないけど、お肉系が良かったなぁ。こないだ、海鮮系の丼食べたばかりじゃない」
と、寿司はお気に召さなかったようだ。
でも、ちょっと神経を研ぎ澄ませてこう太の心の声に耳を傾けてみると。
【森崎さん達も一緒かぁ。昨日のデートがお父さんの怪我で途中で終わっちゃったから、二人っきりで出かけたかったなぁ】
どうやら、寿司が嫌なんじゃなくて森崎くん達がいるのが不満だったみたいだ。
俺はそっとこう太の手を繋いで、「今度は、二人っきりで肉食いにいこうな」と言ってやると、こう太はちょっとキョトンとした顔になったけどすぐに笑顔になって頷いた。
「じゃあ、今日はお寿司で許してあげる」とニコニコ顔のこう太の頭を撫でてやりながら四人で駅前を歩いていると。
「あれ、森崎くん達じゃないですか」
「あれー、音羽さん。と、有子ちゃん。久しぶりー」
偶然、音羽くんと奥さんである有子ちゃんに出会った。
普段のサラリーマン姿じゃなくて、ちょっとめかしこんだ音羽くんと有子ちゃんと外で出会うなんて珍しい。
「これから友人夫婦と食事に行くんです」
「方向がご一緒でしたら、途中までご一緒しましょう」
特に断る理由もなく、俺達六人は同じ方向にある店まで歩いて行った。
音羽くんは森崎くんと間宮くんと、奥さんは俺とこう太とお喋りしながらダラダラ歩いていた時だ。
前方に、紙切れを持ったおばあちゃんが周りをキョロキョロしているのに音羽くんが気づいた。
音羽くんはすぐさまおばあちゃんに近づくと、「何かお困りでしょうか?」と声をかけた。
どうやらおばあちゃんは道に迷ったかで、場所がわからなくて困っていたようだ。
おばあちゃんが持っていたのはこの辺の地図なんだけど、みんなで顔を突き合わしても知らない所だった。
「あぁ、ここはわかりにくいでしょうね」
「タクシー呼ぼうか?」
「いえいえそれは勿体無い距離です。よろしければ、私が案内しますよ。有子ちゃん、先に行っててください」
音羽くんはにこやかに笑うと、おばあちゃんをエスコートしながら俺達から離れていった。
そのすごく自然な行動に、さすが元警察官だなぁと俺達は感心しきりだった。
「音羽くん偉いなぁ」
「意外と親切なんですよね」
「当然のことをしたまでですよ。でも、褒めてくださってありがとうございます。彼に伝えさせていただきます」
奥さんの有子ちゃんは、俺達の言葉にクールな笑みを浮かべながらお礼を言った。
お年寄りに親切にするのは当然、と言った態度だったんだけど彼女の心の声が流れ込んできた。
【大哉さんだぁーいすき(*´∀`*)】
「ぶぅぅぅぅぅぅっっ!!」と俺は吹き出すと、膝から崩れ落ちた。
「何?どうしたの?」とこう太が怪訝な顔をしてるから笑いを必死に抑えようとするんだけど、
【あぁ、ヒロくんホンマかっこえぇなぁ☆☆親切で優しくてもううちメロメロやわぁ…!こんな優しくて強くてカッコエェ人がうちの旦那さんなんやでって、みんなに自慢して周りたいわぁ。アカンアカン!そないなことしたら、みんなヒロくんに惚れてまう!ヒロくんは、うちだけの愛しの王子様なんやから☆☆☆】
俺は舌を噛みながら流れてくるピンク色の言葉に耐えた。
「あ、みなさーん。只今戻りましたー!」
「おう、お疲れヒロくん」
「ふぁ!?」
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