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No.33/モテ男
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色んな女とやってきたけど、キスを嫌がられた経験は今まで一度も無かった。
軽くキスした後に、真琴が口を押さえて炭酸流し込んだのを見てあれ?とは思った。その後もう一回しようとして、思いっきり拒否られて火が付いた。
そんなに双子が好きなのか…。そんなに俺が嫌だったのか…。
ドッ、ガタ、
空白の一瞬。
気が付けば引き倒して乗っかっていた。ふつふつと湧き上がる負の感情。
黒髪に指を差し入れ、押さえ付けた真琴の頭。思う存分口内を侵して舌を絡め、引き入れ吸う。温い唾液もスパイスの残り香のする息も何もかもを奪いたくなる。
「…んっ、…っ、」
くぐもった苦しげな声。抵抗する気はないのか、真琴の両手は横腹を押さえたままだ。
一頻り貪ってやっと真琴を解放して上から退いた。
頬を濡らす涙、眉根を寄せた真琴の悲しげな表情。いつもの明るさなんてどこにも無い。青空の様な笑顔なんて、もうどこにも…。
「ぅっ…、」
押し殺す嗚咽。身動ぎして傍に居る俺に背を向けた。気になって覗き込むと、瞳を閉じた真琴の目頭からまた涙が出て鼻を乗り越え流れる。まだ押さえてる横腹を中心にそろりと丸まる体。
「…真琴、」
俺の声に丸まった体がピクリと動く。怯えているのかもしれない。
少しづつ冷静さを取り戻す頭。ああ、どうしてこうもバカなのか。真琴の気持ちを踏みにじる事しか出来ない。真琴が誰を好きでも自由なのに。
嫉妬と怒りは似た感情だったんだな…。どっちも瞬間に脳を支配し滾らせる。好きだとか、大切だとか、全てを飲み込み衝動的な行動を起こしてしまう。
そんな事も真琴を好きになって初めて知った。
「怪我させてごめん。動けないだろう……今から双子を呼ぶから迎えに来て貰おう。」
遊園地で一応番号交換はしていた。どっちに掛けるか少し迷って楓の番号を呼び出す。あいつは容赦なく俺を非難するだろうからあえて選ぶ。
スマホをタップして呼び出し音を聴く。
俺は近くに居るとまた真琴に酷い事をしてしまうだろう。諦めきれない思いなら、離れた方が真琴はきっと笑っていられる。
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