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No.37/モテ男
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「オレも……オレも、京平が好きだ。」
真琴の真っ赤な瞳が俺を見る。もう泣いてないけど、まだ潤んでて窓から射し込む光でキラキラと輝く。
「好きって、それ…、」
自分の心音が大きく聞こえ、体温がグワアッと上昇した。俺の意識は目の前の真琴だけに集中する。じっと俺を見詰めて半開きで誘う唇。
ハンカチごと包み込んだ手をぐっと引き寄せる。熱い気持ちのまま、
「真琴、」
引き込まれる様に顔を傾けてキスしようと近付き……寸前でハッとした。
ちょっと待てよ。また変な思考回路で友達として好きとか言ってるのか?それとも本気で、本当に俺を好きなのか?
どっちだよ…。ぬか喜びだったら立ち直れねえよ…。
「京平、」
寸止めの唇に真琴から近付いて…そっと柔らかく重なった。
ふにゅっ。ほんの瞬き程の一瞬。
熱いものに触れた様にバッと直ぐに離れる。椅子から身を乗り出してそれを追いかけ…捕まえて重ねた。
驚かせない様に優しく触れる。真琴の吐息を感じながら軽く啄む。どんな果実よりも甘く、蕩ける。クセになる。触れていたい。
「…ん、っ、」
名残惜しく放す。唇の端を舐ればほんの少し涙の味。
「泣かせてごめん。…初めて真琴からキスされた。俺を好きって本当なんだな。」
「うん。」
真琴がハンカチで口を隠して恥ずかしそうに俺を見た。あ、自分からキスしたの照れてるとか?
……かわいすぎる。
「なあ、昨日の怪我のところ見せて。」
やっぱり確認しておきたい。昨日は気になってあんまり眠れなかった…酷い様なら病院へ連れて行こう。
「…うん。でもほんとに大丈夫だけど。」
言いながら立ち上がりシャツをズボンから出して捲る。湿布の貼られた横腹。
「これ剥がしてみてもいいか?」
「うん。」
椅子に座ったままの俺の前に無防備に晒された腹。湿布を剥がすと少しだけ色が変わってる。思ったよりは酷くない。だけど気持ちは沈む。
「ごめんな。痛かっただろ、」
打撲に触れない様に近くの肌をそっと撫でる。しっとりとして手の平に添うきめ細やかな肌。謝罪と早く良くなれって気持ちを込めて、湿布の匂いが残る肌に唇で触れた。
「んっ、京平くすぐってえよ!」
真琴が身を捩る。…色気の欠片も無い。なのにどうしてこうも俺を煽ってしまうのか。
「……。」
黙って湿布を貼り直す。シャツを下ろして腹を封印する。…ヤバかった。ゴムもねえのに、こんなとこでやったらまずい…いやいや、やる気はねえよ?…ゴムは鞄の中なんだよな…。いやいや…。
話題を変えて気を反らす。
「2限目から授業出るか、」
「うん。…今日は席が隣じゃないな。龍壱から聞いた。」
残念そうな声。…そうだった。原と替わったんだった。くっそ、無駄な席替えじゃねえかよ。しかも、黒板の前っつー…。
「…今日だけな。放課後は一緒に帰ろう。うちに寄るか?」
出来れば続きをしたい。
「あ…ごめん、家には寄れねえんだ。帰るのも楓と紅葉が一緒でいいか?今日は2人とも早く終わるから校門で会う約束したんだ。」
いい訳ねえだろっ!て言いたいけどな…、
「……分かった。」
「おお!みんなで帰るの初めてだな!あ、キイチも誘おう。すっごい楽しみになってきた。」
無邪気な笑顔。
俺はすっかり忘れてた。…あいつら。あの双子はどうすんだよ…。
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