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No.54/モブ男
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京平の話は何だか複雑だった。
「…えっと、じゃあ今まで友だちじゃなかったのか。」
「まあ、同中出身のただの同級生だな。」
オレには仲がいい友だちに見えたのに。京平の話ではキイチに今までの事を謝ったけど許して貰うのは難しいって。
「でもきっとキイチは、」
京平の事が好きだから側に居たいんじゃないかって思ったけどでも、もう止めたって言ってたな。
「能戸が何?」
「ううん。キイチにもう一回ちゃんと謝ったらどうだろ。オレも付き合うし。」
「そうだな休み明けにまた謝ってみるか。」
「うん。」
なんか相談されるの嬉しい。京平はあんまり人を頼らなそうだもんな。へへ、オレって少しは頼りにされてるのかな…。
「もう遅いし寝るか。」
「うん。」
明かりを薄暗くしてベッドに京平が横になる。オレも一緒に横になった。
「……真琴、」
「なに?」
「何で横に寝てんの。」
「だって一緒に寝たい。」
相談も終わったし、キイチの事は休み明けにならないと解決しない。明日は兄弟ゲンカしないと…あ、緊張してきた。
目の前の体にぎゅっとくっつく。ぴったりと合う。ああ京平の匂い…安心する。
「ちょ、あんまりくっ付くな。」
言葉と一緒に手の平が肩にかかる、ぐいぃぃって押された…。
「痛い、」
そんなに嫌がられたら悲しい。あ、やべ涙が出そう。
「はぁ…泣くなよ。痛くしてごめん。」
肩から手を離して掴んでたとこを撫でてくれる。痛かったのが和らぐ、人の手はスゴイ。京平の手の平が肩から離れて首を撫で優しく頬を包んだ。あったかい。
明日の兄弟ゲンカ…本当は不安な気持ち。楓と紅葉に嫌われたらどうしよう…考えたらダメだ。言いたい事を言わないと。
「真琴…、」
頬を包む手のひらの熱と、近くにある唇からの吐息を感じながら目を閉じる。さっき掴まれた肩に触れてみる、そのままぎゅっと自分を抱き締めた。そっか…誰も抱き締めてくれなくても自分で抱き締めればいいんだ。
京平の手程じゃないけど安心する…もう怖くない。きっと明日は大丈夫。
今夜も怖い気持ちや不安からの解放の為の眠気が来る。
「おやすみ、」
「えっ!嘘だろ…この空気を無視して寝るのか、」
なんだか慌ててる声。でも、眠くて意識は遠のいた。
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