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No.55/モブ男
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「おお!」
食卓に並べた朝食を見て京平の顔が輝く。ハムエッグとコンソメスープとチーズトースト。あとホットコーヒー。
「ごめんな大したものじゃねえんだけど、」
京平の家の冷蔵庫の中身はほとんど空っぽだった。恵子さんが言うには、加賀家には料理人がいないんだって。でも有り合わせで作った朝食を、平助さんも恵子さんも大袈裟なくらいに喜んでくれたから嬉しかった。
「いや大したもんだろこれ。お前凄えな、料理出来んのかぁ。予想以上のちゃんとした朝食だし。」
「うん、」
思った以上に喜んでる。食材なくて本当に大した事ないんだけど。
「よし、食おうぜ。見てたら腹減ってきた。」
言いながら椅子に座る京平の向かい側に腰掛ける。
「いただきます。」
「いただきます…、」
一緒に手を合わせて、京平が食べるのを待つ。なんかドキドキしてきた、もし不味かったら…謝る準備をして見つめる。
向かい側でコンソメスープを入れたカップを持って、ゴクリと飲み込む。
「お、美味い!」
パッと笑顔になる。
「わ、」
うお、まぶしい…、イケメンの笑顔ってスゴイ。髪もセットしてねえし、寝起きでちょっとボサボサな感じとか…いつもより子供っぽい。ドキドキしてぎゅっとなる。今の笑顔はキタ。
「真琴どうした。食わねえの?」
「あ、ううん。食べる。」
心臓がうるさい。笑顔に撃ち抜かれて騒いでる。
「おー、このトーストも美味い。」
ただのチーズトーストを喜んで食べてくれる。オレは嬉しくなって恵子さんに渡された食費を京平に見せた。
「恵子さんに休みの間の食事の支度頼まれたから後で一緒にスーパー行こう。食材買わないと何も作れねえから。」
「あいつ、ちゃっかり真琴に押し付けたな。…無理して作んなくていいんだぞ、適当に食えるもん買ってくれば良いから。」
「ううん。料理するのは好きだから大丈夫。」
「…そっか。ごめんな俺も手伝うから。」
「うん。」
朝から嬉しい事が多過ぎてオレはすっかり忘れてた…。
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