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No.56/モブ男
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「兄ちゃんは結局、僕が弟だから恋愛対象として見てくれないんだ。何時までたってもそうだ…弟じゃなかったら良か」
楓に掴まれた腕にまた指が食い込む。痛いけど、それよりも楓の表情が苦しそうで悲しくなる。
「楓、言ったら駄目だ。僕達は弟じゃなかったら兄ちゃんとは会えなかった。出会いは変えられない。」
紅葉が楓の腕を掴んでオレから離した。
「ごめんな。ずっと言うのが怖かった…2人は大好きだけどやっぱり弟なんだ。京平を好きな気持ちとは違うから。」
本当にちゃんと考えてた、弟じゃなかったらどう思うのか。どんなに考えてもオレにとって2人は弟で大切な家族なんだ。たとえ2人がオレを兄だと思ってなくても、もういいんだ。
「あとさ、楓が写真を消したのはやっぱりイヤだった。悲しかったしちょっぴり恨んだりもしたし…、」
兄弟ゲンカとかやった事ねえしオレには難しい。京平の言うようには上手く出来ない。こんなふうに楓を責めるのも初めてだし。
「その事は本当にごめん。泣かせる気なんて無かったのに苛ついて衝動的に消しちゃったから。写真を見てる時の兄ちゃんが幸せそうに笑うから気になって、ついスマホ見ちゃって…、」
「楓よりも僕の方が謝らないと…。実は、前から加賀さんの写真を見てるの知ってたんだ。あと、加賀さんを好きな事も最初から気付いてた。でも知らないふりをしてたんだ、ごめんね。」
「は?えっ!…紅葉知ってたのか、」
えーっと…。2人が固まるオレの前で目を見合わせ頷く。
「本当にごめん。写真を消すなんて、子供みたいな事して反省してる。兄ちゃんが大好き過ぎて耐えられ無かった、加賀さんに盗られてしまうみたいで、」
「兄ちゃんの気持ちを知ってたのに、あんな事とかアレな事とか色々させてごめんね。僕も大好き過ぎて耐えられ無かった、怒ってる?」
「あんな事アレな事って…何させてんだよ!」
仁王立ちで怒る京平。楓と紅葉が左右からオレを覗き込んで、すまなそうに眉根を寄せて謝ってくる。この2人の表情にオレは弱い。兄としての本能というかなんかが刺激されてウズウズして2人を抱きしめた。
「オレは怒ってないよ。なあ…これからも2人の兄ちゃんでいさせてほしいし、京平と付き合う事も認めてほしいけど…ダメか?」
ギュッと2人から抱きしめ返される。こうやって抱きしめられるのは久しぶりで嬉しくなる。へへって笑ったら、紅葉に頭を撫でられた。
「許してくれるんだね有難う。兄ちゃんは勿論僕達の大切な兄ちゃんだよ。」
「そうだよ。勿論大切な兄ちゃんに決まってるよ。だからハグとキスはさせてね家族なんだから。」
おい楓!って京平がなんか言ってる。
「うん!…あ、京平の事は?」
「あーそれね、まぁ仕方ないよね。」
「うん、仕方ないから別れる迄待つよ。」
良かった認めてもらえた!
「京平、付き合ってイイって!」
笑顔で京平を見たら渋い顔をしてる。あれ、喜んでない?え、やっぱり付き合うのイヤだった?
「はあーもう分かったよ。そんな顔すんな、付き合うに決まってるだろ。仕方なくだけど、双子の許可が下りたし俺もハグとキスは認めてやるよ。ただし軽いやつな。」
「ケチ、」
「ちっちぇな。」
「楓、それはお前だ。」
「おー!いつの間にか3人とも仲良くなってたんだな。良かった。」
違う!って3人に突っ込まれた。やっぱり仲がイイ息がぴったし合ってる。
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