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No.65/モテ男
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真琴は結局ゴールデンウィーク中に俺の家へ戻って来なかった。
「ごめんな、楓が熱出したから。そっちには行けそうになくて…、」
「うん。分かった…、」
本当かよ楓の奴。嘘じゃねえのとか思うけど真琴は本気で心配してるし、そんな事言えねえし。
「本当にごめんな。勉強一緒にする約束だったし食事も恵子さんに頼まれてたのに、」
「食事は何とでもなるって、むしろうちの母親の所為でごめんな。真琴はさ、人の面倒ばっかり見てないで自分の事もちゃんと休ませてやれよ。」
「…京平優しいな。ありがとう。」
「いや早く良くなるといいな。」
「うん。…あ、紅葉が呼んでる。また後で連絡するな。」
電話が切れる。
はぁ…。しょうがねえか。
「お早う。」
びっくりして固まる。ゴールデンウィーク明けの登校中、五月の晴天の下の笑顔。
「…能戸。」
あまりにも普通に以前の様に隣に立つ。まるで何にも無かったかの様に。
「挨拶くらいちゃんと返せよ、友達だろ。…それとも休みの間に気が変わったのか。」
「…お早う。」
「何、その微妙な表情。笑顔の一つも作れねーの?」
「いや、かなりびっくりしたから。あの時はさっさと帰ってしまっただろ。まさかこう来るとは思わなかった。」
「…もし、俺が許さなかったら如何してた?」
そんなの決まってる。
「もっかい謝る。」
「ふん。ならもう少しほっとけば良かったな。加賀が謝るの見んの好き。」
口の端を上げてにやりと笑う。そうだ、こいつはこんな奴だ。俺には嫌がらせしたり、からかったり。そんで喜んで笑ってる。
「あ、お前に報告。真琴と付き合う事になった。」
「そっか。」
紅葉は玉砕かぁ…って呟く。そういやこいつは紅葉と仲良かったな。
「まことっち、ちゃんと言えたんだ。」
「うん。まあ、かなり待たされてジリジリしたけどなんとかな。」
「良かったな。でも大学は別になる可能性大だろうから、捨てられねえ様に頑張れよ。」
ん?
「お前、真琴が実は頭良いの知ってんの。」
「はあ?今更何言ってんの、一緒に勉強してれば分かるだろ。まことっちはかなり進んだところを予習してるし、既に大学の過去問とかもやってるし。」
「……全然、見てなかった。」
「…ま、頑張れよ。」
呆れ顔の能戸。まずい…本当に頑張んねえと。
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