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No.66/モブ男
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休み明けの通学路。昨日電話で決めた待ち合わせ場所にはキイチも居た。2人はなんか楽しそうに話しながら、オレを見付けて挨拶してきた。
「お早う真琴。」
「お早う。久し振りだね。」
ハッとする。あっ、そっか!嬉しくて笑顔が抑えられない。
「おはよう。2人とも仲直りしたんだな良かった!」
京平は仲直りするの難しいって言ってたから、キイチに会ったら許してもらえる様にこっそり説得しようと思ってた。
「うん。泣いて縋られたから仕方なくね。」
「おースゴイな!」
泣いてすがる京平か…。見たかったな。やっぱイケメンはそんな事してもカッコいいんかな。
「ちょ待て!やってねえし、本気にすんなよ。しかも想像しようとしてるだろ。」
止めろ!って言って京平が慌ててる。
「えっ、ウソなのか。」
「ふふふ、まことっちは素直でかわいいね。」
キイチの笑顔が眩しい。しばらく会ってなかったからキラキラが目に突き刺さる。
「キイチはキラキラしてる。」
「ははっ、よく言われる。そう言えば付き合う事にしたんだろ。良かったな。紅葉を説得した甲斐があったよ。」
ん?紅葉の説得ってなんの事だ?
「あっ、あの休戦ってお前の提案か!」
「えっ。」
「そう、まことっちが不憫でね。楓を説得するのは難しいから泊まった時に紅葉の優しさに付け込んでみた。まことっちがタイミング良く体調崩してくれて見事に成功。」
「そうだったのか…、」
オレはあの期間がなかったら京平とは付き合えなかった。楓と紅葉が付き合う人を自由に決めて良いって言ってくれたから、やっと勇気を出して自分の気持ちを話せた。
「ありがとうキイチ。…色々ゴメンな、オレは何も知らなくて…。こんなに良くしてもらうとか思ってもなかったから、」
それはキイチのおかげだったんだ。キイチは京平の事を好きだったのに…。
「友達だろ。何の事か分からないだろうけど、変わるきっかけをくれたからそのお礼。俺はまことっちが好きだよ。」
「うう…キイチ、オレも好きだー、」
涙はあっという間に出てくる。ぼろぼろって落ち始めて手の甲で抑えた。
「そんなに好きって言って貰えるの嬉しいけど…加賀が凄い形相で俺を見てるから。」
「ゔゔ、ゴメンなー。」
泣き止もうと思ってゴシゴシと目をこする。
「ほら、手を外せ。」
京平がオレの手を退けさせてハンカチでそっと涙を拭う。優しく触れて目を覗き込む。
「擦るから赤くなってる。泣いたってバレるぞ。」
「…うーイヤだ。」
「ぷっ。じゃあ今日はなるべく俺の方を見とけ。他の奴に顔見られない様にな、」
「うん。」
そっか。そしたら今日は堂々と京平の観察が出来る。
「げぇー、加賀が甘くて怖いわ、」
「言ってろ。良いんだよ。真琴にしか甘くしねえし。」
「…鳥肌立った。」
「ダチなら慣れろ。」
「ははっ。」
2人のやり取りが以前と同じ様に、いやそれ以上に仲良くて嬉しくって泣きながら笑った。
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