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No.66/モテ男
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はぁ…。
溜め息とか吐いてしまう程に、俺は最近気になる事がある。
真琴と付き合い始めて3ヶ月、夏休みの今。毎日会いたいけどそれはお互いに難しく、週2のペースで落ち着いた。何故なら真琴は家族に説得され塾の夏期講習を受け始めたからだ。
それで、…俺は、
「手が止まってるけど、この問題難しいかな。」
「あーすんません。ちょっと別件で悩み中で、」
「それは俺が帰ってからゆっくり悩んで。はい、集中。」
笑顔ではっきりと言いたい事は言う、この一見優男風の男。現役K大生の松田当麻、俺の家庭教師だ。大事な事だから2度言っとく、俺の、家庭教師。しかも週3で来る、真琴よりもこいつと会う回数のが多い。
K大目指してる話を真琴が全く何の悪意もなく母親に言ってしまい、ピカリと奴の目が光った。しまったと思ったその翌日には家庭教師が家を訪ねて来るって…恐ろしいわ。母親の執念と本気を感じた。
ま、それはいいとして。
気になんのは、真琴がイク時に唇を噛んで声を出さない事。それと最中もなるべく声を抑えてる。気持ち良いか聞いても泣きそうな顔される。もう3ヶ月もだぜ。
「何でだよ。」
そのくせセックスは拒否らない。でも自分からは強請らない。付き合い始めてからこの調子、くそっ原因は何だ。俺は何かしたのか、何だよ…。
「分かんねえ。」
俺はもっと喘ぎ声が聴きてえし、エロい事強請って欲しいんだよ!強請られたのって付き合ったばっかの時に一回だけ、しかもあん時は双子に嫉妬してカッとして、…ん?何か引っかかる。
「あっ!」
それだ!
そうだ真琴はあの時泣きながらもう言わないって…ごめんなさいって…。
「…嘘だろ。」
まさかまだ引きずってんの。いや…有り得る、あの謎の思考回路を持つ真琴だ。
双子の事であれからは何か責めたりとかして無いけどあいつは素直なんだよなあ…俺が怒った事が強く残ってるんだろ。
「やってしまった…、」
やっぱり言うべきじゃなかった。でもな、こっちはそんなに人間出来てねえんだよ、耐えられなかったっつーの!
「はぁ…。」
俺は真琴の事を理解したくて今も観察し続けてる。
それで思ったんだけど、あいつは大切な存在に対して凄く精神的に弱い。もう言いなりに近い。家族にはモロにそうだし、最近は俺に対してもその傾向が強く出てる。ちょっと臆病になってる。
でもそれがさ、何か、かわいいんだよなぁ…。いじらしくって守ってやりたくなんの。
あ。そういや、嫌いになってないかこの前も聞かれた…。
「喜んでる場合じゃなかったわ、」
ズガァーンとキタ。
あれは不安の表れだったんだ。俺への好き度アピールとかじゃなく、自分の不安を打ち消す為の確認。
「くそ、気付かんかった…。」
そう考えると、もう3ヶ月間もあいつは不安定なまんま…。それでも青空の様に笑ってた…本当か?本当にそうだったのか?
「ああ、くそっ!」
「うん、全然解けないんだね。そんなに難しくしたつもり無かったんだけど、解き方のヒント教えるよ。」
全く解いてなかった俺は松田さんの誤解に取り敢えず頷く。ヒントを与えて貰い数学の問題集に再び取り掛かる。
真琴の事は今度会うまでに良く良く考えて、どうにかしねえと。あいつは数学よりも難解だ。
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