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No.71/モテ男
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夏休みも終わり、いよいよ学校が始まった。俺は席替えで真琴と離れ、窓際の真ん中の席になった。
「原、席替わってくれ。」
「嫌だ、俺は絶対にこの席は譲らねえ!」
「良かったな龍壱。黒板の前からやっと離れたな。」
真琴が楽しそうに原を振り返る。くじ引きで席替えとかマジ止めろ。
真琴の後ろで尚且つ廊下側の一番後ろの席になった原は、机にしがみ付くと俺を睨み威嚇した。シャアァァって鳴き声出してる…何の動物だよ。
「あのさ、良ければ私が席替わろうか?」
真琴の隣の席の女が笑顔で話し掛けてくる。名前とか知らねえけどちょっとケバい。
「…なら替わって。」
「うん。じゃあ加賀くん今度デートしてよ。」
「はあ?」
「え、デート…、」
真琴が小さく呟く。動揺が伝わってきてちょっとイラつく。今だに女からメールが入ってくる俺を信用しきれてねえからなのか、それとも自分に自信がないのか…。真琴は自己評価が低い、大丈夫だって思いっきり抱き締めてやりたい。
「お礼くらいするべきでしょ。」
あー、くそ面倒い女だな。女とはヤるばっかでデートとか一度もした事ねえよ。それに真琴以外とする気もねーし。
「じゃあ替わんなくていい。デートとかしねえ。」
「なによ来るもの拒まずじゃなかったの。」
「あーそれ過去の話。今は付き合ってる奴いるから無理。」
「えっ、彼女出来たの…知らなかった。」
びっくりした女と、
「京平っ、」
焦ってる真琴、
「おっ、加賀って彼女いんのか…しかし俺のえりりんには敵うまい。」
阿保な原。
真琴は俺の顔と女を交互に見ながら不安そうにしてる。まあそうだよな。俺たちが付き合ってる事をバラすのは得策じゃねえし。
「だからもういい。誤解される様な事はしたくない。」
「なーんだ、彼女いるならデートはいいや。でも席は替わろう。窓際好きだし。」
「えっ、いいのか…助かる。」
何だ意外にいい奴だったわ。
「自販機のイチゴオレでいいよ。」
「いや、そこは抹茶オレだろ。」
すかさず突っ込む原。どんだけ抹茶好きなんだこいつ…。
「なら後で買って来る。」
「うん。宜しくね。」
真琴が物言いたげに俺を見るけど、イチゴオレで話が付くなら安いもんだろ。これでまた真琴の隣の席は俺の物だ。
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