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No.73/モブ男
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「わりぃ。桜井シャー芯持ってたら1本恵んで。」
授業中の塾で、隣の席の東野が小声で言いながら片手を上げて拝む。
「うん。」
シャー芯のケースごと差し出すと、ありがとって受け取って1本抜いた。
休憩時間になってすぐ、東野が話し掛けてきた。
「さっきは助かった。今から下のコンビニ行ってくっから、肉まん奢っちゃる。」
「肉まんて…シャー芯1本でそれはボリすぎだろ。」
「うんじゃ一緒に行こうぜ。何か好きなの選べよ奢るからさ。」
「うん。じゃあ行く。」
一緒に階段を降りてコンビニに向かう。東野も夏期講習からこの塾に入って来た、違う高校の奴だ。成績順に分けられるクラスで一緒になってたまたま隣の席に決まって親しくなった。
「何にする?さっさと買わねえと時間無くなるぞ。」
コンビニに着いて真っ先に菓子コーナーに行って中にプリン味のクリームが入った小ちゃいチョコを1個取って渡す。
「じゃこれ。」
「えーこんなんでいいの?」
「うん。これ好きだし。」
ついでに炭酸と、今日は楓が迎えに来るから楓の好きなお菓子も買っとこう。
夜遅いの心配だからって夏期講習の時からずっと2人は交代で迎えに来てくれる。それに塾って高えし…家族にはこんなに色々して貰ってるから絶対にK大合格しねえと。
「なあ、桜井はどこ受けんの?」
コンビニを出て階段を上る。横に並ぶ東野が肉まんをパクつきながら聞いてきた。
「K大学。」
「へえそっか…、」
「東野は?」
「迷ってたけど…うん。決めた、K大学にする。」
「うわ何の嫌がらせだよ。あんまりライバル増やしたくねえ。」
「ははっ一緒に受かろうぜ。」
肩をポンポン叩いてくる。友だちが増えんのは嬉しいし確かにオレが受かればいいんだ。
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