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No.73/モテ男
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「でな、東野って奴もK大受けるって。」
屋上から見える青空と同じ様に晴れ渡った笑顔。
「へえ、何かそいつと仲良さそうだな。」
真琴は弁当を持ったまま、うんと嬉しそうに頷く。
いや塾の話を最初に降ったのは俺だし、別に仲良い奴がいてもいいと思ってる。だからこんな事くらいで嫉妬とか心狭い男になる訳にはいかない。これからも幾らでも新しい出会いがあるだろうし、それはお互い様だからだ。
「うん。席も隣だし夏期講習から一緒でさ、話す事も多いな。そういや京平の降りる駅と同じだったからもしかしたら京平も知ってる奴かも。」
「ふうん下の名前って何、」
「うんと…ハジメ。始まるっていう一文字。」
ブッ!
その瞬間、思いっきり飲みかけの烏龍茶を吹いた。
「ゴホ、ゴホッ、」
「うおっ!大丈夫かっ、」
隣の真琴はびっくりして咳き込む俺の背中を撫でる。
「きったねぇ、危うくかかるところだったぞ!」
原が俺の前から後退りし、
「何、気管支にでも入ったの。動揺し過ぎだろ。」
能戸は冷静に言い放った。能戸は今でも奴と交流があんのか…それすらも俺は知らない。手の甲で烏龍茶を拭ってると、
「なー東野って知り合いだったのか?」
「うん。中学同じだったし俺は今もたまに会うけど。」
ちらっと俺を見て能戸は真琴に笑いかける。こいつが東野と俺の確執をどの位把握しているのかは知らねえし、それは後で話すとして問題は真琴だ。
「へえっスゴイな。じゃあ京平も同じ中学だったんだな。なんだそっか。じゃあ友だちだったのか?」
「あー、…まあな。でも今は全然付き合いねえよ。」
「そうなんだな。でも東野っていい奴だしいつかみんなで遊べたらいーな。」
無邪気に笑う。ああ、くそかわいい。
「真琴…それは、」
無理だ。
かつては親友だと思ってた東野はきっと今でも俺の事を恨んでいる。それは全くの誤解だし、きちんと説明だってした。俺は奴の女に手を出した事なんて一度もない。恋は盲目とはよく言ったもんで、友情なんてモンは女の前ではアッサリと捨て去られた。
「ね、まことっち。そこの塾ってどう?俺も塾に通おうかなって思ってるんだけど、」
「えっ、ホントか!なら一回体験入学してみるか?友だちとかの紹介だと少し割引になるし、」
能戸が話題を変えてくれた事にホッとする。後でアイスでも奢ってやろう。
「げえ、飯の時間くらい勉強の話とか止めようぜ。それよか俺のえりりんの魅力について教えてやるよ。」
「ヤメろそれこそ飯が不味くなる!リア充め、」
相変わらず変な呪いのポーズを原に向けてる。お前もリア充だろ真琴。
「あはは、」
呑気に笑う能戸にスマホのトーク画面を開いて帰りに相談があると打ち込む。ピコンと素早くOKのスタンプが返信された。
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