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No.74/モブ男
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放課後は相変わらず交代で迎えに来てくれる弟も一緒に帰る。京平とキイチも一緒に待ち合わせの校門の前に行くと紅葉とトリカイがいた。今日の昼休みは一緒に弁当食べれなかったから、トリカイに会ったら渡そうと思ってたお菓子を鞄から取り出す。
「トリカイ。この前はジュース押し付けてゴメンな。コレやる、」
「いや、お菓子とかいいですよ。俺は野菜オレ好きですし。」
「ううん、せっかく買ったし貰ってくれ。このポッキー美味いぞプリン味だし。」
「プリン味…?えと、じゃあ遠慮なくいただきます。」
「うん。」
お菓子の箱をトリカイに渡す。紅葉が何の話って聞いてくるから、野菜オレを押し付けてしまった事を話しながら駅に向かって並んで歩く。
「そっか野菜ジュース苦手だもんね兄ちゃん。かわいい。」
いつもの様にオレの頭を撫でようと手が伸びてきて、
「あ、紅葉っ!それ駄目!」
なんでか慌てて止めに入るトリカイ。
「何で?」
「紅葉と楓がいっつも桜井さん撫でてるから俺までうっかり撫でそうになって、加賀さんに怒られたから。」
「そんな事あったか?」
全然記憶になくて背後を歩く京平を見たら、
「ああ、野菜オレの時。」
「ふうん。結構妬いちゃうタイプなんだ。」
キイチがなんか半笑いで隣の京平を見てる。
「うるせえよ、」
「え、妬く?…何で加賀さんが妬くんですか。」
「あれ、トリカイに話してなかったっけ?オレが京平と付き合ってんの。」
考えてみたら龍壱にもトリカイにも話してない。いやでもこれって別に言いふらすもんでもねえから、龍壱には聞かれるまでは言わないでおこう。
「えっ……もしかして、この中で知らなかったの俺だけですか。」
「うん。言いそびれてたゴメンな。」
「なんだか寂しいですよー。紅葉も教えてくれたら良かったのに。」
「ああ、きっと直ぐに別れると思うから渉には話してなかったんだ。」
「京平とは別れねえよ。」
「真琴とは別れねえよ。」
「ぷっ、同時とかどんだけだよ。ウケる。あははっ、」
苦しいって言いながらまだ笑うキイチを京平が蹴り真似しながら歩く。ちゃんと別れないって言ってくれてスゴく嬉しかった。自然とほっぺが緩む。
「兄ちゃん顔が変だよ。にやけてる。」
耳の近くで囁かれる、
「わっ、」
慌てて顔に手をやった。そんな変な顔になってたのか。京平に見られない様にしねえと。
「嘘。ごめんね、あんまりかわいいから意地悪言った。」
「紅葉ぃ、」
いつもの優しい笑顔の紅葉を想像して隣を見たら、なんだか違った…。ちょっと怒ってんのか?いや、なんだろな…拗ねてる感じというか…。
「本当は解ってるんだ。だからもう少しだけ時間頂戴、兄ちゃん。」
小さい声で早口に言われた。その意味がちゃんと理解できたわけじゃないけど、頷いて欲しいんだって事は分かった。
「うん。」
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