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No.78/モテ男
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「京平。あのな今度の土曜日さ、朝から付き合って欲しい所があるんだけど。」
昼休みが終わるギリギリに帰って来た真琴が言った。担任からの呼び出しの内容は何だったのか、それは後で聞く事にして取り敢えず頷く。
「良いけど何処に?」
「うん。オープンキャンパスに。」
「K大学なら以前一緒に行っただろ。」
「ううん違うとこ。」
「はあっ?」
びっくりして真琴を凝視する。おい、ちょっと待て!
待ちに待った放課後。詳しく話を聞こうと思って、真琴を捕まえてオープンキャンパスの件を持ち出した。今日は楓の迎えの予定だけど、そんなん待たせとけって感じだ。
「京平が前言った事をずっと考えてたんだ。」
「前言った事?何の話だ?」
「K大で学びたい事は何かって聞いただろ?」
「あー、あれか。それがどうしたんだ。」
「オレがK大に決めたのは、この辺で1番近い国立だから学費を抑えられるって理由だけだ。学びたい事とかなんにも考えてなかった。取り敢えずどっかの学部に入れるならって思ってた。」
「うん、それがどうしたんだ。俺なんか真琴が進学するって理由だけで受験するんだぜ。あとは、K大なら就職に有利だろうって考えだし。」
真琴が首を振る。
「楓と紅葉は、父さんの事務所を継ぐ為に弁護士を目指してるって。」
「成る程な。いかにもって感じするわ。」
「ずっと家族のみんなに好きな進学先を選べって言われてた。それって何を学びたいかって事だったんだ。」
双子は今でも無理し過ぎるなって説得してる。真琴の体の事を気にしてこれ以上痩せない様にって、弁当食ったかどうかの確認メールまでしてくるし。相変わらずの溺愛振りだ。
「もしかしてどこか行きたい大学があんのか?それでオープンキャンパスに、」
「うん。迷ってたけど、オープンキャンパスに行ってみようって決めたんだ。昨日先生に相談したら呼び出されて考え直してくれって言われて、ちょっと泣かれた。」
「は?」
あの女教師、泣き落としとか…アホか。いや、真琴ならK大学合格出来そうだし、うちの高校の自慢になるからな。そら担任も必死だろ。
「で、どこを見に行くんだ?」
「保育士の専門学校なんだ。」
「…ん?」
まさかのK大学からの専門学校。専門的に学べるのはいいし、それに反対するつもりはない。真琴がこんなに晴れやかに笑ってる、きっと保育士になりたいって本気で思ってるんだろう。
「ちゃんとオープンキャンパスとかで見てみて、どうするか決める。家族のみんなにも賛成してもらったから。」
「…そっか。」
俺にはある意味K大学よりハードル高いぜ……これは、担任じゃねえけど泣くわ。
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