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No.79/モテ男
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「あははっ。ウケる、加賀が保育士とか!」
能戸が身をよじる。こいつ…俺の部屋の床にのめり込む様にして笑ってやがる。日曜日は朝から真琴が塾で居ないし一緒に勉強する約束したのはいいけど、昨日のオープンキャンパスの話をしたらコレだ。
「じゃあ、一緒に保育士目指すわけ?」
ようやく笑いを収めた奴が言った。
「いや俺には無理だ。真琴の面倒見るのでいっぱいいっぱいだし。むいてねえし。予定通りK大と私立大学でいく。」
「ふうん意外。まことっちが受験しなくってもK大はやめないんだ。」
「まあな、就職先とか考えるとK大は魅力的だろ。とは言っても合格出来るかはまだギリギリのラインだし、保険として私立大学も受ける。」
今まで血反吐吐いてやってきた勉強を無駄にしたくない。それに母親の期待が半端ないし。絶対K大は受けとかねえと視線で殺される。
「加賀は変わったな。まことっちに振り回されてんのが良い影響になってる。他人に対して優しくなったし、勉強も真面目にやってるし。随分、自分勝手な部分が無くなった。」
「何だよ急に気持ち悪い。お前だって良い方向に変わっただろ。」
「そうだな、まことっちのおかげ。」
そう言って笑う。何で真琴のおかげなのか知らねえけど俺は今の方が能戸らしいと思う。
「そういや真琴からメールきてたけど…東野の家に遊びに行った後にうちに寄るって。」
「ふうん東野とね…。あのさ、それ迎えに行った方が良いんじゃないか。」
「何で?」
「最近、東野がやたらとまことっちの事を電話で聞いてくるし、話す話題もまことっち中心っていうか…。まさかとは思うけどちょっと気になってさ。まことっちは男にモテるだろ。」
「なっ、」
ガタタッとテーブルを揺らして立ち上がる。膝打ったけどそんなん気にしてらんねえ!
「おいっ!そんな重要事項はもっと早く言え!行くぞ!」
「…あー、やっぱそうくるか。」
「ほら早く来い!」
俺は部屋のドアを開けたまま、一刻も早く行きたくて急かす。能戸が立ち上がるとポケットからスマホを取り出しどこかに電話しながらこっちに歩いてくる。
「…出ないな東野。マズイかも急ごう。」
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