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No.80/モブ男
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オレの腹に跨った東野のポケットから着信音が鳴ってる。
「前さ電車で腕を掴んだ時にも思ったけど、桜井の肌って気持ちいい。」
スマホを取り出しもしないで首とか鎖骨とか撫でてくる。くすぐってえし、この状況ってかなりまずい感じがする。
「電話鳴ってる、」
まだ口を隠したまま教えたけど東野は全く気にしてない。電話鳴ってんのが聴こえてねえのかな。そう思ってたら着信音が止んだ。
「重いから退いてくれ。」
なんか腹の圧迫感でキツくなってきた。押さえ込まれてるからここから逃げ出すのは難しい。口から手を離して、東野の上半身をググッと押す。ビクともしない、っていうかオレの筋肉どこ行った?最近痩せたせいかただでさえ筋力ねえのにますます力が無くなってる。いや東野ってたしかサッカーしてたとか言ってたな…基礎体力の違いか?
「なあ、腹のとこが苦しい、ホント無理。」
「あ、ごめん。なあキスしてえ。」
腰を浮かした東野がオレの両手にそれぞれ指を絡める。ぐっと押されて、いとも簡単に大きいクッションにポスンと減り込む。なんか頭の横に両手を張り付けにされてる。そんでさまた雰囲気がこう、なんつーか熱っぽい。
「桜井、」
唇をちょっと尖らせて近寄ろうとしてる、うおぉぉぉフタが出来ねえ!両手が!
「ヤダってば!オレは付き合ってる奴いるし、そんなんしねえって!」
必死で言った。ちょっと涙出そう。
「えーっ。彼女いんの?いや、もしかしてあの弟じゃないよな。」
「…楓と紅葉?」
「そ、あの双子。なんかあいつらお前に対してすごい過保護だろ。しかも俺はめっちゃ睨まれてるし。義理の弟だって話だし手繋ぐし頭撫でさせるし、この前は頬にキスしてただろ。あれはねえよ。」
「え…でも、挨拶だから。」
「はあ?」
東野が目を見開いた。口までポカンと開いてる。そういや京平も初めて弟と挨拶のちゅうしてんの見た時驚いてたな…。なんか懐かしい。あれからもう7ヶ月経ってんのか。
「んと、東野は兄弟いんの?挨拶のちゅうとかしねえの。」
「バッカ!ここは日本だろ!やんねーよ!弟いるけど、死んでもやらねえ!」
「え?あれ?」
「ちょっとお前変だぞ!話ちゃんと聞くからそこ座れ。絶対あの双子に騙されてる。」
さっきまでとは違い、別の意味で熱っぽい。オレの腕を引いて体を起こす、クッションの上に座ると向かい側に座って腕を組んだ東野が頷いた。
「遠慮なく困ってる事を話せ。あの双子はいかにも底意地が悪そうでずる賢そうだ。俺が力になる。」
「いや、何も困ってねえよ。二人とも優しいし、好きだし。」
むしろ東野に困ってる。京平の事も誤解が解けてねえし、今も変な事を言い出すし…。
「俺がお前を助けてやる!」
「必要ねーけど、」
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