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No.80/モテ男
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東野の家まで全力疾走して、呼び鈴を鳴らす。
「出て来ねえな、」
「うーん、誰も居ないとか?」
言いながら能戸が勝手に玄関を開けると中を覗く。俺も奴の後ろから見た、
「真琴の靴がある。」
「だな。東野入るぞ!」
既に上がり込んで階段を上る能戸に続く。考えてみたら俺は3年ぶりの東野の家。能戸みたいに慣れてねえし、ここは先導を任せて後ろからついて行く。
ガチャ、
「東野!」
「真琴!」
言葉と一緒に開かれた扉から、先に中へ入る。
「なんだよお前ら…、」
「あれ、二人とも勉強会は?」
びっくり顏の東野、首を傾げてる真琴。
「何でまことっち正座してんの…。」
「真琴っ、何もされてないか?」
心配して駆け寄ると真琴は困った顔して俺たちを見た。
「あのな東野がスゴイ説教してくる。オレは弟に騙されてるから早く家を出ろとか、進学先がダメとか、もっと将来を考えろとか…、受験の大事な時に恋人作るなとか。」
うぅって唸った真琴がヨロヨロ立ち上がる。正座で足が痺れてんのか直ぐに転けそうになった。
「おっと、大丈夫かっ。」
「京平。」
抱き留めると、真琴の眼からブワッと見る見るうちに涙が盛り上がる。ポロッと一つ落ちたら、ポロポロと次々と落ち始めた。
「ぅ…、っぐず、」
長袖のTシャツの袖で涙を抑えてしゃくりあげる。さらさらの髪が俺の肩に掛かった。
「真琴、」
「あらら。東野、何泣かせてんだよ。お前、恋人云々は明らかに私情が勝ってるだろ。ていうか全て余計なおせっかい。」
能戸が東野を横目で見た、視線が冷てえ。俺はそんな様子にすっかり怒り損ねた。
「だって…能戸は知らねえだろ、桜井の弟は変だぞ。それにK大止めるとか何だよ。俺はせっかく同じ学校に行こうとしてたのに。」
「双子の事はお前より分かってるし、紅葉とは仲良くしてる。お前の心配事は既に解決済み。そしてお前がK大目指そうが止めようが、まことっちの所為にすんな。東野さ、まことっちの事を好きなんだろ?」
「なっ、何だよ…。別に、そんな事、」
「ハッキリしろよ。ならさ、まことっちが誰と付き合ってるか知ってんの。」
「…弟じゃねえのかよ。違うなら誰だよ、っていうかどうせ俺の知らねえ奴だろ。」
「あははっ。もうおっかしいなぁ!ウケる。説教たれる前にちゃんとまことっちの話聞けよ。どうせまた、聞く耳持たずで自分の意見を押し付けてたんだろ。下手に正義感あって頑固。本当可愛らしいね。」
「うわ、キッツい…。」
ちょっと同情するわ。東野が言葉に詰まってる。能戸はキレると容赦ねえな、顔は笑ってんのに目が冷めてる。
「…キイチ。あの…ゴメンな。オレがもっとちゃんと話出来たら良かったんだけど、京平の誤解解きたくてまたその事言ってしまったから怒らせたのもあって、」
何とか泣き止んだ真琴が、能戸の怒りに気付いてオロオロしてる。
「…東野。少し話をさせてくれねーか、俺が原因みたいだし。」
「……分かった。」
俺の言葉に渋々頷く。真琴はまだ諦めずにいたんだな。そんなら俺がちゃんと決着を付けるべきだ。
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