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No.81/モブ男
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テーブルを挟んだ京平の向かい側で話を黙って聴いてる東野。その隣で、東野が途中で口を開こうとするとその度にチラリとキイチの瞳が動く。シーッ、と唇に人差し指を当てる仕草が一々綺麗だ。正面から見てるとドキドキする。
「で、全ては誤解なんだ。別に無理に信じる必要はねえけど。」
「…分かった。取り敢えず誤解って話は信じてもいい。」
「はあ?取り敢えずって何だよ。誤解なんだよ、ちゃんと加賀の話を理解出来てんのか?」
今日のキイチは機嫌が悪い。東野に対して怒ってるし言い方がキツイ。
「ずっと東野はそうやって加賀の所為にして逃げんだろ。お前の元カノが勝手に加賀を好きになっただけだし、そもそもお前に彼女の気持ちを惹きつけていられるだけの魅力が無かったって話だろ。本当はそれ分かってるくせに。」
「う、」
「ほら図星。お前そんなんじゃ、まことっちに嫌われるから。」
確かにさ、そうやって京平を責めて逃げる東野とは仲良くなれそうもない。
「なんで桜井が関係あるんだよ。」
「あー…東野。その事もちゃんと話さねえといけないって思ってたんだけど、俺が真琴の彼氏。」
京平が、だから真琴が心配でここに来たんだけどって言う。
「はあっ…嘘だろ、桜井…。」
ちょっと腰を浮かせて、呆然とこっちを見る。
「本当だ。京平と付き合ってる。さっきもそれ言おうとしたけど弟の話になって、説教になったし…。」
「という訳。だから加賀の事を悪く言うのは逆効果。そんなんじゃまことっちは東野を好きになってくれないよ。それが友情だとしても好きな人に嫌われるのは辛いだろ。」
「何だよそれ…、また加賀かよ。」
ぼんやりと呟く。オレと京平を交互に見て、はあぁぁ…って息を吐いて肩を落とした。
「東野、まことっちの事で加賀を恨むのは筋違いだから。」
「分かってるよ、…別にちょっと良いなって思ってただけだし。桜井とは仲良く出来ればいい。」
「あーでも、それは東野が京平とちゃんと向き合えるようになんねえと難しいかも。」
すぐじゃなくてもいいから、いつかみんなで一緒に遊べるといいなって思う。
「東野。お前は俺の事が嫌いかもしれねえけど、俺は別にお前の事を嫌いな訳じゃない。」
「…何だよムカつく。お前がそんなんだから悔しくなるんだよ。俺がちっちゃい人間みたいで本当嫌になる。」
「ふうん自覚あるんだ。」
キイチが横目で見てちょっとニヤニヤした。
「悪かったよ、加賀が悪い訳じゃない。唯の八つ当たりだった。…桜井もさっきはごめんな。」
そう言って頭を下げてくる。東野はちょっと頑固だけどいい奴なんだろうな。
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