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No.82/モブ男
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11月の土曜日。楓と紅葉、更に京平までも心配して、一緒について行こうかって言われたけど断って無事に専門学校の試験を受けた。
結果から言えば合格で、オレの進路はあっさりと決まって12月の今ちょっと暇を持て余してる。
「なー真琴。お願いします!どうか俺に数学を教えて下さい!」
龍壱はえりりんと同じ私立大学を受験するらしいけど、数学が足を引っ張りヤバいらしい。追い詰めらんねえとヤル気出ないとか言って余裕こいてたもんな。
「うん。じゃあ今日うちに来るか?」
「うん行く。ふう助かったぜ。あとさ今度の土曜日に朝から数学の補習受けねえといけないから、それも付き合ってくれよ。俺を1人にしないでくれえ。」
後ろの席の龍壱の方を向いて、椅子を跨いで背凭れに腕を乗せてるオレの肩をガクガク揺さぶってくる。
「もう分かったから。付き合ってやる。」
「それ、俺も行く。確か朝の9時から11時迄のやつだろ。終わったら一緒に昼飯でも食いに行こうぜ。」
オレの隣に椅子を寄せてた京平が長い足を持て余し気味にして言った。うわ、マジで足が長いなー。身長あんまし変わんねえのに。さすがモテ男だ。
「くう…何だよ加賀。お前、俺をランチに誘いてえならそう言えよ。補習にかこつけなくても、たまになら付き合ってやるぜ。」
「いや、別に真琴がいればいいけど。」
「何だよ照れんなよ。俺の事、好きなくせに。」
ヘラヘラした龍壱が京平の肩を人差し指でつんつんしてる。
「あー、そうそう。」
無表情で棒読み。でも龍壱の好きにさせてる。京平は龍壱とすごい仲良くなって、クラスのみんなとも随分喋るようになってきた。よく笑うし、雰囲気も優しい。そんで相変わらずモテてる。いや前よりモテてんのかもなあ。
今日もなんか女子に呼ばれてたな…。嫉妬ってどういう感情だろ。京平は怒りに似てるって言う。でもオレは怒りとか感じない…どっちかと言うと…、
「寂しい、悲しい。」
って思うな。
「何だよ、真琴の事ほっといてごめんなあ。寂しいって…そんなに俺の事が好きとか、かわいい奴め!」
ガバッと、龍壱が抱きしめようとしてくる。
「止めろ。」
横から腕を引かれ、グラリと体が傾いて京平の肩に寄り掛かった。
「あっ、ごめん!」
うお!ヤバい、ここ学校。慌てて離れようとすると龍壱が顔を寄せて来た。
「真琴。いつかちゃんと話せよ。師匠と弟子はもう辞めたんだろ。」
「…うん。」
あれ?バレてんのかも。
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