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No.85/モテ男
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コンビニで買った2個入りのショートケーキとホットコーヒーの入ったマグカップが2つ。リビングから移動して、俺の部屋のテーブルに並べ終えた真琴が笑顔で言った。
「なあ京平、このイチゴの乗った生クリームのケーキ見るとクリスマスって感じがしねえ?」
「そうだな。」
「どっから食べようかな、やっぱこのイチゴかなぁ。でも1個しかねえのに先に食べたら勿体無い気もすんな…、」
迷い中の真琴を見ながら、俺はさっさと赤い実をフォークですくった。
「真琴、苺好きなら食うか。」
「えっ、イチゴ1個しか乗ってないのにくれんの。」
「ん。ほら、あーん。」
俺の言葉に反応して素直に口を開ける。生クリームのついた苺をフォークごと入れてやると、パクリと口が閉じた。フォークを引き抜く時に、唇の端っこに生クリームが残った。
「真琴、クリーム付いてる。」
「ん?」
もぐもぐと動く口元。チラッと赤い実と赤い舌が覗いてぺろっと唇を舐めて引っ込んだ。
「まだ付いてる。」
「んん?」
また舌で違う所を探ろうとしてるから、近付いて口の端を舐めてやる。うん、美味い。
「もう取れたぜ。」
いきなり舐めた所為か見開いてた瞳が瞬いた。
「あ、ありがと、」
「どういたしまして。ケーキ食わせてやろうか?」
「えっ、」
「嫌なら止めとく。」
今日は好きなようにさせてやりてえし甘えさせてやりたい。
「い、イヤじゃない…。」
真っ赤になりながら口を開けてきた。小さく切った欠片を乗せて唇に近付けると、ぱくっとケーキを閉じ込めてフォークだけを残して遠ざかる。少し嬉しそうな顔してて、照れてんだなあって分かる。
「ほら、次も、」
「ん、」
また口の中に新しい欠片を入れてやると、もぐもぐと頬が動く。なんつーか、かわいい。
考えてみれば真琴は我が儘とか言わねえし、クリスマス忘れてる様な彼氏に文句も言わず食事とか作ってくれてさ。…何か不憫になってきた。俺は正直、今は勉強が大変で余裕もない。だけどさ今日くらいはっていうか、夕方迄は思っきし甘やかしてやりたい。
「もっと食べるか?」
「な、なんか…恥ずかしいっていうか…、甘いっていうか、いやケーキ食ってるから甘くて当たり前なんだけど、こう、ムズムズする…、」
「うん。…でも嫌じゃないんだろ。」
フォークをケーキの横に置いて、真琴の手を取り指を絡めた。引き寄せ耳元に囁く。
「もっとドロドロに甘くって、恥ずかしい事する?」
「ぅう…、」
ぽすん、俺の肩にサラサラの髪と額がくっ付く。横目で確認したら耳まで真っ赤。
クリスマスだし俺は真琴のサンタ。だからさ…。
「やっぱ、良い子にはご褒美やらねえとな。」
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