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No.87/モブ男
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もぞもぞと肩に当たるなにか…ぼんやりと手のひらで探る。あ、なんだろ…髪?頭?んーと…そうだ、京平。
「あ、カテキョ!」
ぱっちり目が覚めた。目を閉じた無防備な京平の顔がすぐ近くにある。そうだった、風呂上がりに約束通り昼寝してたんだ。いま何時だろ。頭の横に置いてたスマホを取って確認する。
「ヤバ、もう直ぐ5時。カテキョの来る時間だろ。京平っ!京平っ!起きろっ!」
ゆさゆさと揺さぶる。
「んん…。」
長い睫毛が震え眉根が寄る。オレの手を力の入ってない腕が押し除けようとしてる。まだ寝てたいんだろうな、京平寝るの好きだもんなぁ。
「京平、」
「ん…、」
ピンポーン、
「あ、来た。京平ぃ、起きろぉ!キスするぞっ!」
どさくさに紛れて唇にちゅっと触れる。柔らかいつるりとした感触。気持ちいい。
「うぅ…ん。」
ピンポーン、
「ああっもう。はあい!今出ますっ!」
もう京平は後回しだ。オレはひとまず玄関のドアを開ける為に下に降りた。
カチャ、
玄関の外にイケメン。なんでオレの周りはイケメンが多いのか、いや、世の中はオレ以外顔面偏差値が高いヤツらしか居ないのか…むなしい。気を取り直して聞いてみる。
「家庭教師の先生ですか?」
「はい、松田当麻です。京平君の友達かな。」
「…はい。あ、上がって下さい。」
マツダさんが慣れた様子で玄関の中に入って靴を脱ぐと、先に階段を登っていたオレの少し後ろをついてくる。
「京平、マツダさん来たぞ。」
まだ寝てるんだろうなって思いながら部屋のドアを開けたら、
「ああ。ごめんな真琴。」
ベッドも綺麗に整えられて寝てた形跡とか感じさせない、きっちりと勉強道具を用意した京平が居た。なんだ…スゴイな。さすが出来る男、Y高を代表するモテ男だ。
「あれ、君が真琴君か。従兄弟の夕夜がお世話になってます。最近よく君の話をしてるよ。何か落ち込んでるみたいだから、時々は話を聞いてあげてね。」
「あ、はい。」
きっと壺の事で落ち込んでんだろうな…。この前もうちに持って来てた。なんか自宅は幼馴染みのヤツがよく来るから泣けないとか何とか…。心配かけたくないって言ってたなあ。
「京平、オレ帰るな。」
隅に置いてた学校の鞄を持って手を振る。
「うん、また日曜日にな。送ってやれねえから、気を付けて帰れよ。」
「大丈夫だって。じゃあなー。」
なんか心配そうな顔で手を振り返す京平。あれだな、楓と紅葉も同じ顔する。
大丈夫なのになあ。ちゃんと分かってるんだぞ、公園の変なヤツには気を付ける、知らない人からはプリンを貰わない。ほらな、完璧だろ?
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