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トリカイの冬休み(5)
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「ぅあ、…った、痛っ、」
さっきまでの穴を広げる様な、指で探ってくる違和感がなくなった代わりに、太いモノが入ってくる。ローションでぬるぬるしてるケツ。もう何でなんだよ、俺が挿れられる方なのか…。いや、もしかしたらって気付いていたけど、やっぱそうか。
もうここまで来たら諦めてる。ベッドの上に裸同士でいるし、俺は仰向けで寝てて、能戸さんは俺の両足を割って徐々に腰を進めて来る。
「しめんな。もっと緩めろ。」
「あっ、…能戸さ…ん、苦し…緩めるとか分かんない、」
「息を吐け、」
はぁ…と、なんとか詰めてた息を出す。でもその途端にググッと更に中に進んで来る。
「あぁ、」
「やっと全部入った。」
能戸さんが繋がった近くを撫でる。ぎゅ、触れられて収縮する穴、自分でも分かる。感じる。
「キツ、」
顰められる眉、それでも綺麗な能戸さん。彼の身体は細いのに筋肉が付いてて引き締まってる。思わず掴んでいた彼の肩、筋肉の動きを感じる。何かスポーツしてんのかな鍛えられてんなぁ。
「鳥海、もう動くけど大丈夫?」
「え、あ、はい。」
何か分かんないけど待っててくれてたんだ。優しいな俺の事を考えてくれてるとか…。少しは好きになってくれてんのかな、そうだといいな。
「なら、遠慮なく。」
唇の端が上がる。その言葉通りそっからの彼は、まるで俺を気遣う素振りも見せずに好き勝手に穿って来た。
「あっ、痛い、…や、ぁあっ、」
ガツガツ、荒い。ほんっと痛い!
「ああ、…ぅ、う、」
身体が揺れてベッドが軋む。床の上じゃなくて良かった、板張りでこんなんされたらケツどころか、背中も…いや、身体中が痛む。優しさなんて欠片もない。
「…っ、ふっ、…ぅ、」
ギッギッギッ、軋む音。上下してる身体。もう俺の半身は痛みで萎えて縮んでる。触ってもくれない。
そろりと自分で撫でる、少しでも痛みを誤魔化したい。情けない思いを味わう、じわじわと涙が出た。
ベッドに寝たまま、ぼんやり天井を見る。
「ん、良いけど。なら、後でそっち行く。…うん。じゃあな、」
俺に背中を向けたまま話してた能戸さんがスマホをタップして電話を切った。相手は誰だろ、でも聞けない。まだ上半身裸のままで電話を受けてた彼が動き出して長袖のニットを着る。眼鏡のない、ぼやけた視覚で動きを追いかける。
「もう懲りたか。初めてなんて気持ち良くないし、多分痛いだけだろ。俺は経験無いから想像だけど、」
全くもってその通り。でも答えずにはぐらかす。
「…眼鏡、取ってもらえないですか。」
「ああ、テーブルの上に置いたままだった。…ほら、」
渡された眼鏡を受け取り、掛ける。能戸さんはすっかりコートを着て出る準備を整えてる。もう帰るんだろう。
「その小説、持って行って下さい。」
テーブルを指差した。
「うん、そうだったな。忘れるところだった有難う。」
ショルダーバッグに、本とローションとコンドームの箱を無造作に詰め込んでる。少しは罪悪感とかあんのかな。俺よりも好きな本を忘れる位には、俺の事を気にしてくれてんのかな。
「能戸さん。次会ったら…またしたい。」
「…ふうん。懲りなかったんだ。」
馬鹿だなって言いたそうな表情。知ってる、俺は馬鹿だ。
「まあいいや。じゃあ気が向いたらな。」
「はい。」
この痛み。もうしばらくは起き上がる勇気がない。俺の部屋を出て行く背中を見送る。
耳を澄ます。階段を降りる足音が遠ざかり、やがて玄関の扉がカタンっと閉じる音が微かに聞こえた。
「能戸さん用意が良すぎる。慣れ過ぎ。」
ローションもゴムも常備してるって何だよ。俺だって持ってるけど、持ち歩く様な事はしてない。男の部屋に来て全部自前で事を済ませるとか何なんだ。
「次回とかあんのかな。ないかもなあ。」
彼の気が向いたら…向くかな?向かなそうだなあ。
「あーあ、」
どうすんだ、読書感想文の清書が出来る様な状態のケツじゃねえって。明日から親も年末年始で仕事が休みって言ってたな。
恐る恐る穴の近くを触る。うん切れてない、血も出てない。そんくらいの気遣いはしてくれてたんだな。まあ、痛えけど。
「後1時間くらいは寝て、起きたらシャワー浴びて、それからまた寝とこう。清書は明日だな、」
眼鏡を外して、濡れた目を手の甲で拭う。別に何てことない。涙が出るのはケツの痛みのせいだ。
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