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トリカイの冬休み(11)
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眼科に行って眼鏡店へ寄ってから、のんびりと昼休みの時間に登校した。遅くなる事を教えてたから、この諸々の原因を作った友達が待ち構えていたように寄って来た。
「おー鳥海。本当ごめんな、これ昨日のノートのコピーな。」
「サンキュ、」
渡された数枚の紙を受け取る。
「コンタクト入れてんだろ?ちゃんと俺の事見えてる?」
「うん。大丈夫。一応家用に眼鏡も作ったけど、これを機会にコンタクトに変える予定。」
「そっか、ごめんなぁ。これでもウワサの責任とか感じててさ、やっぱちゃんと家まで送るべきだったなあってさ、」
「…ん?噂?何だよそれ、」
全然話が見えねえ。
「昨日の放課後、加賀先輩に荷物持ちさせて別の先輩を侍らせたあげくに、校門の所で綺麗な先輩とM学のイケメンに左右から腕引かれて奪い合いされてたんだろ…これマジの話?」
「っんだよそれ!捏造、捏造だから!」
いや側から見たら、そう誤解されても仕方ない感じか?しかし誰だよ、んな話を言いふらしてんの…。
「あ。あの時の女子2人か?」
有り得る。下駄箱で靴出した後もずっと近くに居て加賀さんの事を見てたのかも。そのついでに俺が視界に入って、とんでもない誤解に至ってるとか。
「なんだ、やっぱりウソか。」
「嘘っていうか、階段で助けてもらったり、う◯こを盾に脅されたり、色々あったんだよ…、」
後は、あーん攻撃とかな。
「まあまあ、ウワサとかしばらくしたら消えるだろ。でもスゲェなあ、加賀先輩だけじゃなく、別のイケメン侍らせるとか…なんの乙女ゲームだよ。あはははははっ、」
殺意って、唐突に湧くんだな、
「阿保がぁ!乙女ゲームだあ?誰の所為でこうなったと思ってんだ!」
イラッと来た。昨日の俺の、もんもんとした時間を返せや。
無駄に神経を擦り減らして、失恋の古傷と戦って友情を壊さないかと気を揉んで…、ぐらぐら傾いて落ちそうな所を踏ん張ってあーん攻撃を耐えた。思い出せば思い出す程、
「うっがぁぁ、腹立つ!腹立つわ!」
お気楽な阿保を揺さ振る。お前の命を救ってやった恩人に対して何だ、よりによって乙女ゲームとか阿保の極みだわ!
「わ、わっ、ごめん!えと、…本当、俺が悪かった…あ、肉まん食う?ほら、鳥海の為にさっき買って来てたんだぜー。」
ぐらぐらなりながら、肉まんが入ったコンビニの袋を差し出す阿保。
「ちゃんと鳥海の好きなヤツ。チャリ飛ばして買って来たから許せ。」
俺の好きなコンビニの肉まん。Y校から近いコンビニじゃないのに、わざわざ買いに行ってくれたんだ…。
「許してやるよ。」
阿保の友達は、結局馬鹿なんだな。
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