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No.88/モブ男
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オレの誕生日はバレンタインデーの翌日。というか、京平の誕生日の翌日。で、今日なんだけど…京平はカテキョの松田さんと勉強だ。いよいよ二次試験の日が迫っている。邪魔はしたくないから、しばらくは学校以外で会うのはガマン。
「兄ちゃん、誕生日おめでとう。」
「兄ちゃん、誕生日おめでとう。」
「うん。ありがとうな。」
朝飯食ってたら2人が近付いてきて、楓からちゅってほっぺにキスされた。今年になってから紅葉は挨拶のちゅうをしなくなった、なんでも恋人が出来るように神社で願かけしたとかなんとか。よく分かんねえけど、ハグはいいらしい。
「はい、これ誕生日プレゼントだよ。」
「いつも通り2人で決めたんだ。」
長方形の箱、割と厚みもある。なんだろ。
「開けてもいいか?」
「勿論、」
「気に入ってくれると良いけど、」
包装紙を外すと箱の柄が見えた。きっと中身の商品の写真だと思う。開けてみるとやっぱりそうだった。
「これ、この前テレビで紹介されてた…、」
「うん。兄ちゃんが欲しいって言ってたから、」
「即決めだった。」
おお!全然焦げ付かないっていう魔法のフライパン!油なしでも大丈夫だし、チーズも焦げ付かない、まさにミラクルパン!
「うわ、スゴイな!これ人気商品って言ってたのに。」
「うん、何とか間に合った。予約待ちしたんだよ。」
「でも色がピンクしか残って無かったんだ、ごめんね。本当は水色が良かったんだけど。」
申し訳なさそうにしてる。全然そんなの気にしねえのに。
「ううん。ピンクも好きだし、何色でも機能に変わりないだろ。それよりも2人の気持ちが嬉しいから。」
「兄ちゃん!」
「兄ちゃん!」
ぎゅーと来た。慌てて、手に持ってたフライパンをテーブルに置いて2人にサンドイッチにされる。
「へへ、このフライパンで美味しいご飯作るな。」
「うん。」
「うん。」
「真琴、誕生日おめでとう。」
「まことっち、誕生日おめでとう。」
登校する時の待ち合わせ場所。京平とキイチがオレを見た途端言ってきた、なんか嬉しい。
「うん、ありがとうな。」
「まことっち、これプレゼント。こんなのでごめんね。今朝ここに来る途中で加賀から誕生日の事聞いたから、」
プリンチョコ、プリン味の棒付きキャンディ。なんか色々とお菓子が入ってる。
「おー、プリン味がいっぱい。」
「うん、好きでしょ。」
「ありがとう、オレはキイチの誕生日になんもしてないのに…。」
「俺の誕生日はお盆だから、大抵家族しか祝わないよ。気にしないで、」
キイチの笑顔が眩しい。冬の寒さの中で、ぱあぁぁっと輝く。
「真琴、俺も取り敢えずプリン買ってきた。本当のプレゼントは試験終わったらな。」
「うん!あ、生クリームの乗ったヤツだ。」
京平からプリンの入った袋を受け取る。へへ、すごく嬉しい。
その後、教室に入ったら龍壱からおめでとうって言われた。毎年、お互いの誕生日には言い合ってる。昼休みにはトリカイからプリンオレを奢って貰った。
それから放課後。校門の所に紅葉と一緒に、いつもは居ないスギヤマが以前見たことのある幼馴染みを連れて来ていて、プリンの形をしたクッションをプレゼントしてくれた。
「昨日は全然チョコ貰ってなかったのに、今日は大量だな…。」
京平が感心してる。そうなんだよなぁ、毎年バレンタインは全然なのに、誕生日は割とプレゼントを貰うんだ。まあ女の子からはないけど。
「去年までは本当凄かったよ、下心満載の男が群がってて。今年は加賀さんが男避けになってたのかもね、」
紅葉が京平の耳元でなんか内緒話をしてる。スギヤマに礼を言いながらも気になる。だって京平の顔が不機嫌になってるし。
「まあ頑張んなよ。僕は手を引いたから、」
京平から離れた紅葉が微笑んだ。なんの話かさっぱり分かんね。
「…ついでに楓も説得しとけ、」
「それは無理。」
うーん?
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