アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
No.88/モテ男
-
前期日程試験が終わった週末。真琴と俺は約束通り、互いの誕生日祝いにデートへ出掛けてる。
受験生だった事もあってこうやって2人きりで、いかにもデートって感じは初めてだ。いや、俺は女ともデートの経験がない。真琴もそうらしい。まあ端から見たら友達同士でぶらぶら遊んでる感じなんだろうけど。
「真琴、どの映画にする?」
「うーん、…このホラーのヤツかな。」
映画館のチケット売り場で次に上映する作品を一通り見て、よりにもよって今人気の日本のホラーを選んだ。これ、相当怖いって前評判だぞ。
「大丈夫なのか、」
お化け屋敷の時も相当ビビってたろ。何でホラーだよ。
「うん。見てみたくって、あ、京平はイヤだった?止めようか?」
いやいや、俺がビビりみたいな空気。
「あー、真琴が平気ならいい。これにするか?」
「うん。」
チケットとポップコーンとコーラを購入して、上映時間に合わせて中に入る。
「うー、ドキドキしてきた。」
期待に胸一杯らしい。目がキラキラしてる。うん、かわいい。もうかわいいから、このムードの欠片も無いホラーでもいいか。
「…で、大丈夫か?」
「うう、ダメ。怖いから、もしトイレ行きたくなったらついて来て。側を離れないでくれ。」
ぴったりと背中にくっついて離れない。通りを歩く周りの人の視線が痛い。いや、まあ予想はしてた…、お化け屋敷の時も双子にぴったりくっついてたし、最終的に具合悪くなってたしさ。
「分かったから、取り敢えず隣に立て。」
「ゔゔ、」
頭が左右に振られたのを背中越しに感じる。駄目だな…。どうせこのままじゃ、人目が気になるしデートになんねえだろ。
「分かった。なら、今から俺が行き先を決めていいか?」
「うん、うん、任せるから離れないで、」
よし。確かこの映画館の裏通りにあった筈。ずんずん進む、お、見えて来た。
「真琴、アラビア風と洋館風とどっちがいい?」
「ん?んと、アラビア風?」
って何?って呟きが背中から伝わる。
「よし、アラビア風だな。」
疑問には答えない、決定事項とみなす。背後の真琴を引き連れて、さっさとアラビア風な夢の国に入った。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
187 / 235