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君の話を聴こうか、[男友達]
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寒さが増し始める12月になった。初めて会った時は、まだ真琴の身長の方が高かった。僕と紅葉の身長はぴったり一緒、いつもそうで今回の急成長もぴったり同時だった。
あれ…、2人とも背が伸びたなあ。
真琴は僕達に寄って来て、自分の頭の上に手の平を置いてすうっと僕のおでこ辺りに滑らせた。ピタッと、おでこに触れるくらい近くで止める。真琴は不用意に触れて来ない。
触れていいのに…いや、僕が真琴に触れてみたい。
ほら、こんなに差がある。
そう言って笑顔を見せる。ああ、かわいい。最近は自分でもどうかと思う程に、のめり込んでいる。
紅葉が思わず、という感じで目の前のサラサラの髪を撫でた。あ、ずるい。僕も負けじと撫でた。
わ、なんだっ、
真琴が僕達の撫で撫で攻撃に驚く。初めて触れた髪は、見た目通りサラサラで綺麗だった。シャンプーの良い香りがする。僕達と同じ匂いの筈なのに、何だか日向の様な優しい匂いだ。
ピンポーン、と来客を告げるチャイムが鳴った。
あ、たぶん友だちだ。
真琴が僕達の囲いを抜けて、急いで玄関へ行く。今日は土曜日。親は仕事で居ない。午後から真琴の中学の友達とやらが一緒に勉強する為に、ここまで遥々、電車で来ると聞いていた。その時点で疑うべきだった。
おじゃまします。
そう言って、家に入って来たのは1人の中々顔のいい奴。
広い家なんだなって話し掛けながら真琴の案内で階段を上ろうとして、廊下に出て来ていた僕達に気付いた。
あれが弟かあ。真琴の言ってた通りそっくりな双子なんだな。
親しげな笑顔で真琴の肩に手を置くと、ついでに後ろ首を撫でた。パッと真琴がそこを押さえる。
うぅ…もう、すんなって!ぞわぞわってなるだろ!
赤くなった顔、首を竦めてる。それを友達が嬉しそうにからかった。
ははっ。ほんっと、かわいい。
そう言って首を押さえてる真琴の手に触れ、外させた。やり慣れた仕草。真琴もやられ慣れてるのか、抵抗もせずにされるがままだ。そのまま肩を抱かれる様にして階段を上って行く。
この野郎!
馴れ馴れしい態度にムカつきながら隣りに居る紅葉を見た、目を合わせ同時に頷く。
僕達も二階へ上がる。真琴の部屋の隣りにある、紅葉の部屋の壁に張り付き様子を伺った。ちょっとでも怪しい雰囲気を感じたら、邪魔しに行かないと。真琴は無防備すぎる。
一応、勉強はしてる。意外な事に真琴が教える一方だ。なんだ…馬鹿じゃなかったんだな。これならM学園に高等部から編入出来ると思う。
なあ、真琴って誰かと付き合った事あんの?
勉強の合間の休憩なのか、野郎の声が聞こえた。確か、今年初めて同じクラスになった奴だと言っていた。
ううん。オレはモテねえし。
そっか、ならキスした事あんの?
ねえよ!…もう、なんだよ。モテる男の自慢話しか?
違うし、つか、やってみたくねえ?
はあ?誰と…、
俺。
バッと、僕が立ち上ったタイミングで紅葉も立っていた。直ぐさま移動し、ノックも無しで隣の部屋のドアを思いっきり開けた。
セーフ。真琴の頬に触れようとしてる手が止まった。
あれ、楓も紅葉もどうしたんだ?
真琴はキョトンとして僕達を見た。いやいやいやいや!今、自分の置かれてる状況を把握しろ!
兄ちゃん…僕らも一緒に勉強していい?
ちょうど、中3の数学習ってるんだ。
僕達は笑顔で言った。野郎の手がそろそろと引っ込んで、何事も無かった様に筆記用具を握る。
うん。いいぞ。一緒に勉強するとか初めてだなぁ。
真琴は嬉しそうに微笑んだ。野郎も渋々頷く。僕らは真琴と野郎が向かい合って座るローテーブルの、空いた空間にそれぞれ座った。
初めまして、弟の楓です。
初めまして、弟の紅葉です。
野郎を見ながら、何もかもお見通しだと黒い笑みを浮かべて挨拶した。
ど、どうも。
野郎が怯む。後で兄ちゃんを促して、おやつを取りに行かせよう。その時にこの男の下心を潰す。紅葉を見る、目が合った。
了解。
その日から、ある事に僕達は気付いた。真琴の男友達…いや女友達はいないから、真琴が友達だと思ってる野郎共の中には狼が混じっている。
真琴は、男にモテる。
きっと僕らと一緒だ。馬鹿にしてたらハマってしまった愚か者が集まってる。真琴は天然の男たらしだ。しかも本人に自覚が全くない。そのせいで危機感も全くない。
このままじゃいつか食べられてしまう。目の届くところで守ってやらないと。父さんの言うように、M学園に編入させるべきだ。
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