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君の話を聴こうか、[進学先]
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朝食の席を家族揃って囲む。3カ月前には考えられなかったほのぼのな雰囲気。でも、これも悪くないって思える様になった。
チラッと隣の真琴を盗み見る。ご飯を箸で運んで口に入れた、もぐもぐとゆっくりのんびり食べる。
あの狼野郎の出現から一週間。僕は最近、真琴の唇ばかり見てる。ちょっとふっくらした、艶々の紅色。きっと、触れたら柔らかくて甘いんだろう。
別にキスの経験がないんじゃない。そうじゃないのに妄想が膨らむ。ふと、紅葉を見た。紅葉も真琴の唇を盗み取てる。
ああ、やっぱりな…。
僕が真琴にハマってるのと同じ深さで真琴にハマってるんだ。まだ、お互いに真琴を好きな気持ちを打ち明けてない。言わなくても分かってるけど、口にしてしまうとライバル認定になってしまう、それもなんかな…。
もう、これは手を組むしかないかぁ…。だって、僕らは何でも協力してきた。悪戯を思い付くのは大抵僕で、それを紅葉に話して作戦を練り、2人で実行する。それがいつものやり方。
真琴君、やっぱりY高校に決めたのかい?
父さんが話し掛ける。…はあ?Y高校?何でだよ!偏差値が低い学校ではないけど、M学園の方が高い。それに、近くに居てくれないと心配でしょうがない。
はい。あの、予定通り特待生の制度を利用しようと思って…ます。
真琴が少し緊張して答える。父さんが嫌いなんじゃなくて、好きなんだろうなって分かる。だから、嫌われない様にって考えながら話してる。
そうか…。成績を維持するのは大変だろうけど、頑張って。
父さんは笑顔で励ました。真琴が嬉しそうにほわあっと笑う。
父さんも真琴が気に入っている。謙虚な姿勢とか、素直な性格とか、何だか和んでしまうかわいい感じが。それは凄く分かる。だって、僕もそうだから。もう初めて会った時のあの苛立ちは感じていない。むしろ、好きで好きでたまらない。
えー兄ちゃん。M学園に来ないの?一緒に登校したかった!
紅葉が残念そうに言った。ああ…、また先を越された。何でいつも同じ事を言おうとするんだ。双子だからか?
オレは2人みたいに頭良くないから…M学園は難しくって。
そんな事ない、兄ちゃんなら大丈夫だよ。一緒に通おうよ!
僕も話に加わった。出来る事なら考えを変えてほしい。そして、ずっと側に居てほしいんだ。
ごめんな。やっぱりY高校に行きたいから。
そっか…。
残念だよ…。
僕達の言葉に、真琴が困った様にごめんってまた謝った。こうなったら仕方ない。高校は諦める。
だけど、あの作戦を実行する事に決めた。紅葉に後で話してみよう。1人よりも、2人でやった方がいい。
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