アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
君の話を聴こうか、[新たな狼]
-
真琴はY高校に首席で合格した。当然の如く、入学式で新入生代表挨拶をする役目が回って来る。
しきりに緊張すると言ってる真琴に、僕達はこれでもかってくらいのダッサイ伊達眼鏡を渡して励ます。これがあれば大丈夫!この眼鏡を掛けてるだけで周りの人達の顔がよく分かんなくなるよ、と言い聞かせて送り出した。真琴は僕達の好意を純粋に信じて、伊達眼鏡で立派に挨拶を終えたらしい。
よし、これで暫く彼女は出来ないだろ。
だね。後は狼を見つけたら排除だ。
真琴には、なるべくうちに友達を呼ぶように進言した。そして、狼を見つけたら片っ端から遠ざけたけど…。その度に何故友達が急に離れて行くのかと、真琴は理由が分からずに表情を曇らせる。
大丈夫だよ、兄ちゃん。きっと直ぐに新しい友達が出来るよ。
大丈夫だよ、兄ちゃん。僕達が側にいるでしょ。
うん。
真琴の瞳はうるうるしてたけど、抱き締めると笑ってくれた。
そうして僕達はずっと、真琴が好きになった女の子に告白してはフラれるのを見届け、その一方で狼野郎を排除していった。
そんな日々が過ぎ、真琴はY高校3年、僕達はM学園高等部2年になった。春、4月。それは突然の出来事だった。
兄ちゃん、ただいま。
兄ちゃん、ただいま。
僕達は生徒会の副会長を引き受けてしまった所為で、ここのところ帰りが遅い。別に好きでやってる訳じゃない、前任者からと教師から如何してもと頼まれ仕方なくだ。
あ、おかえり。
先に帰宅していた真琴が玄関へ出て来た。でも、さっき帰って来たのかまだ制服姿だ。昼休みに確認した時には、今日は真っ直ぐ帰宅すると言っていたのに。
真琴に近付いて、いつもみたいに抱き締めてくちづける。あれ、…この匂いは何。うちとは違うボディソープの香りが首筋から匂う。まさか…顔を近付けて襟の奥を見た。うなじに鬱血の痕、どう見てもキスマーク。しかも直ぐには見えない、制服のシャツの襟に隠れる場所だ。
おい、何だよこれ。こんなにくっきり付けやがって!女の子の仕業とは思えない。ここまでの痕となると、それなりに吸う力がいる。紅葉を見た、匂いにも気付いてるし、僕が見た痕をちらりと確認して頷く。
男だ。
だよな。
全く気配のなかった新たな狼の出現。この狼の正体は、翌日学校から帰宅して直ぐに分かった。それは、今までにない程の強敵だった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
201 / 235