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君の話を聴こうか、[ろくでなし]
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能戸さんは、きっと気付いている。
「っ、は」
…しつこい。唇と唇の合わせ目から息が漏れる。本当にしつこいって、もう、何なんだ。
「ぅん、…やめ」
止めろって。文句を言おうと口を開けると舌が絡む。何回目だよ、このキス。
ベッドの上に抑え付けられた右手首に能戸さんの指が絡んでいる。絶対、捻挫の事を分かっててやってるに違いない。要するに、悪化させたくなければ、従順でいろよって事だ。
「っ!」
外されたボタンの隙間、制服の半袖シャツの下に手の平が進入してくる。慣れた手付きで探られ、反射的に身を捩ってしまい右手首に痛みが走った。はっとして動きを止める、
「ああ、痛かった?」
能戸さんは僕の視線の先にある右手首を、指先でくすぐるみたいに撫でた。やっぱり、気付いてるんだ。
「放して貰えませんか、捻挫の事を知っているんでしょう。卑怯なやり方だ、」
「卑怯とか、そんなのどうって事ないけど。楓も俺と同じだろ、如何しても欲しかったら手段を選ばない。そうやって、まことっちの事を縛り付けてた事があったろ。」
「……そうですね。僕は卑怯だったし、今も愚かなままです。」
「ふうん、後悔してんの。」
してるよ。でも、それは能戸さんに関係ない事だ。
「兄ちゃんに僕がした事が許せないから、こんな事をするんですか。」
だとしたら、能戸さんは兄ちゃんに好意を抱いてんのか?とてもそんなふうには見えないけど。
「まさか、そんなわけないだろ。寧ろ共感すら覚えるね。自分の欲望に忠実に、しかも相手に拒否させない様に上手く立ち振る舞う。」
「…あんたに何が分かる、」
笑みを浮かべてる綺麗な顔を睨みつける。僕の気持ちは僕のものだ、この気持ちを本当に知る事が出来るのは…紅葉だけだ。
「やっと本音が出て来たな。俺にはもっと、そんくらいの感情を見せてよ。楓の事が知りたい。」
「何で、あんたがそんな事を言うんだ。」
「まだ分かんないか?」
その質問には答えたくない。深く考えたくない。今確かなのは、能戸さんがろくな男じゃないって事だな。
「まあ良いや、そのうちに分かるだろ。…でさ、初めてなら優しくしてやるけど、」
はぁ…、やっぱりそうなるか。無理に抵抗するのは止めた、身体の力を抜く。僕は捻挫を悪化させたくない。片手の不便さに、そろそろ嫌気がさしてる。
「自分で当ててみたら?」
嘘だ。本当は、自分自身に心底嫌気がしてる。そんなにヤりたきゃ、やれば良い。こんな身体なんて、心なんて、壊れてしまえ。
「挑発してんの。」
「さあ、」
能戸さんは目を細め、僕の右手に指を絡めて来た。そのまま薔薇色の口元に引き寄せられ右手首に這う舌、その赤さと表皮を撫でる濡れた感触に背筋がゾクリとした。
「くそ、鳥肌立った。」
「色気ないな。」
ふん。色気もクソもあるか。もう好き勝手にやればいい。
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