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君の話を聴こうか、[拉致]
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今日は紅葉のバイトが休みだし、一緒にバスから降りて自宅へ向けて歩く。からりと晴れた空、今日も暑い。夕方なのに昼間みたいに日が照り、半袖のシャツから出た肌をじりじりと焼く。十日もすれば夏休みだし、あと暫くの辛抱…だけど、
「暑いな、」
「だな、アイス買って帰ろう。」
紅葉の提案に頷いて自宅近くのコンビニに入り、僕らは並んでアイスを物色し始めた。
「そういやシマダ元気にしてる?」
紅葉がソーダ味かコーラ味で迷いながら聞いて来た。
「うん。あ!この前さ、初めて一緒に寝たんだ。」
僕は、先日の憧れの猫との添い寝体験を紅葉に言いそびれていた。これは報告しとかないと、この喜びは伝えておきたい。
「えっ、そうなの!よくシマダが許したね、あいつ好みが煩いだろ。」
そんな驚き顔する程?でも、筒井も好みが煩いって言ってたな。
「それは良く分かんないけど、朝まで一緒に居てくれたよ。」
「やっぱり毎日みたいに会ってるからか…ここんとこずっと一緒に居ただろ。」
「うん。好きだから、」
僕はレモンソーダ味にしようと決めて、兄ちゃんの分はどれにしようかと視線を動かした。
「その話、詳しく聴かせろ。」
急に腕を引かれて驚いた。何の気構えもしてなかったから、容易くアイスコーナーから出口に向けてぐいぐい連れ出され、ポカンとしてる紅葉と離れる。あっという間に僕は炎天下の外を彼と2人で歩いていた。
「何なんですか!」
「…黙っとけ、今ムカムカしてるから。」
勝手な言い分。さすが能戸。もう、さん付けする気も起きない。
掴まれた腕が暑い。相変わらず腕は放してくれないまま、駅まで連れて行かれて彼が買った切符で電車に乗せられた。一駅分の移動、降りたら渉の家へ行く道を途中まで歩いて、そこから逸れた見慣れない道を行く。そして歩みが止まった。
「入って、」
やっぱりというか、能戸の表札。ここで逃げるのは難しいか…僕は諦めて開けられた玄関の中に入った。
「こっち、」
無人の家の中を蒸し暑い2階に連れて行かれ、階段の近くの熱気漂う部屋に入れられた。初めて訪れた家と彼の部屋、紅葉と兄ちゃんはきっと来た事があるんだろう。
ピッと音がして、冷房が音を立てながら稼働し始めた。ここまでの道程を歩き既に汗だくだしアイスも逃した、気分は最悪でここで涼しめなかったら殴ってやろうと思っていた…実際殴れるかは微妙だけど。
「で、さっきの話を聴こうか、」
押されて、ベッドの上に尻餅を着く。彼は何故か怒っていて、イライラしてるのが伝わる。何でとか、何がとか、頭の中は疑問だらけだ。訳が分からない。
「島田って誰、」
「え、シマダ?」
上手く質問の意味が把握出来ない。馬鹿みたいに、僕の上に跨ってる奴に聞き返す。
「そいつと寝たんだろ。」
「え?」
確かに寝たけど…。
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