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友人の恋(5)
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大学の食堂にて、不本意ながらも能戸に付き合い遅めの昼食をとる。空き始めた食堂は俺たちの座るテーブルの周りに人が居ない。
昨日の今日だ…表面的にはいつもと変わりなく、そつなく優しい雰囲気のままだが、時折滲み出る黒さ。奴の思うようにいかないのは、俺の所為じゃない。
ふと、向かい側に座った能戸の視線が上がる。俺もつられてそっちを見た。ターゲットは、友人と一緒に二人で歩いて来た。確か、医学部の…名前は覚えてないけどM学園高等部の生徒会長だった奴。
「楓、」
能戸の呼び掛けに、楓は軽く頷くと友人へ目配せして一人でこっちへ来た。
俺は席を外そうと思って腰を浮かしかけたが、それよりも早く楓が口を開いた。
「儀一、回りくどい事しないでほしいんだけど。」
あー…ほらな、
「そう?回りくどい真似しないと承知しないだろ。」
二人共、素晴らしくにこやかに微笑んでるけど…黒い。黒過ぎる。しかも何故俺の隣に座るんだ楓。止めてくれ。
「承知するかしないかは、試しに聞いてみたら?」
「んじゃあ、」
待て、待て!せめて俺がここから脱出してから
「同棲しよう。」
「い、や、だ。」
してから返事しろよ!!何故、間髪入れずに断る!ちっとは考えろ!主に俺の迷惑を!
「じゃあね。」
楓が速やかに席を立つ、俺も速やかに席を立つ。
ガシ…、
ハイ終わった。ギリギリギリと、掴まれた肩に圧力がかかる。
「痛、痛、…止めろ、肩が砕ける!」
お前の馬鹿力で本気で握るな。
「今晩、もつ鍋…、」
「分かった。奢ってやる。」
肩から手が離れた。でもこっちを見て来る目が据わってる。
「ビール…、」
「うん。飲め。」
もう、今晩もつ鍋屋で能戸の愚痴を受け止める覚悟を決めた。
だから嫌なんだ、こいつの男問題とかさ。
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