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08
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気持ちを切り替えないと。
こんな気持ちのままじゃ、明日楽しめない。
いつもの自分を取り戻す為、強く頬を抓った。
よし、凄く痛い。大丈夫。
まな板と今日買ってきた食材を冷蔵庫から出して包丁を握った。
料理は得意ではないが、作るのは嫌いじゃない。自分が作った料理を誰かが食べて美味しいと言ってくれるのは凄く嬉しい。
蓮も隼人も俺のご飯を好きだと言ってくれる。蓮は金曜日だけだけど、隼人は食堂には行かず部屋で食べる事が多い。
隼人は俺より料理が上手で、家では食べた事のないようなご飯が出てくるから、隼人が料理当番の時はいつも楽しみで仕方ない。
隼人に比べ俺のレパートリーが少な過ぎて、最近料理本を買ってしまうくらいだ。
「おい、ご飯出来たぞ。二人とも喧嘩しないでさっさと運べ」
まだ何か言い合っている二人の間に割って入り、食器を持てと促した。
二人の間に入ると俺はサンドウィッチの具材だな。180センチの隼人と182センチの蓮。
俺の身長は175センチだ。高二なら普通の身長だと思うが、二人が高いせいで俺が小さく見える。
「はーやーくー、しろ!この馬鹿たれ共!!」
中々動こうとしない二人の腹にパンチをお見舞いしてやった。
チッと隼人が舌打ちを鳴らし、渋々オムライスをテーブルに持って行く。蓮は相変わらずヘラヘラしながらお茶を運んでいた。
くそっ!俺のパンチ効いてねぇ…。これっぽっちも効いてねぇよ!
「わー、やっぱり尚のオムライスはおいしそー!てか絶対おいしいよねーこれ。デミグラスソースにしたんだ?」
ショックを受けて肩を落とす俺に気付くわけも無く、無邪気に笑う蓮に腹立たしいやら、嬉しいやら。
「尚のオムライスは絶品だよな」
続けて隼人も誉めてくる。
お前の方が料理美味いよ!と、言いたい所だったけど、唯一俺が得意とするオムライスを卑下したら、俺が可哀想だからやめた。
蓮の向かいに俺。俺の隣に隼人が座り、頂きますと三人同時に食べ始める。
うん、悪くない。上手く出来たはずだ。
デミグラスソースは市販のやつだけど。
「おいしー!美味しいよ尚!!」
言葉の通り美味そうに食べる蓮に頬が緩む。
先程の事など忘れる程に、嬉しかった。
「やっぱり尚のオムライスは世界一だな」
「サンキューサンキュー。誉めてもなにも出ないからなぁ」
黙々と全て食べ終えると、蓮が食器を片付ける。蓮が俺達の所に来る時は、洗い物は全部蓮がやる事になっていた。
これが終われば、いつもの長い恋愛話が始まる。
愚痴やら惚気やら、この日だけは授業より疲れる。精神的に。
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