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売店での飲み物を買っていると丁度いい時間になり俺達は館内に入った。
指定席に座り、上映を待つ。
「恋愛ものって何かドキドキするね」
「んー、別に」
「えー?なんで?」
「だって、オチはハッピーエンドに来まってんじゃん」
「そうとは限らないよ。でも……そうだと、いいのにね」
「は?違うのか?」
「さぁ、どうだろうね。ほら、始まるよ」
淡いオレンジ色のライトが消え、館内は暗転した。
二時間程だろうか。隣でポップコーンをバリバリ食べる音も気にならないくらい、集中していたと思う。映画を見終えた俺は、多分、泣いていた。
友達を好きになってしまった主人公は、正に今の俺みたいで。
まさか、この映画が同性愛をテーマにしているとは思わなかった。
蓮も、同性愛の恋愛映画だと知らなかったらしい。
すっと、さり気なく手元に出されたハンカチ。
蓮を見ると、そっぽを向いていた。
黙ってそれを受け取り、濡れているであろう頬にハンカチを当てる。
「あ…」
蓮の、匂いがする。
匂いだけで、胸がドキドキした。
思った以上に、重傷だな…これは。
「….サンキュー。洗って返すな」
「いいよ、そのままで」
そう言って、俺の手から涙で少し濡れたハンカチを取った。
「汚いだろ」
「洗うから大丈夫」
「ちょっと酷いな、おい」
「冗談だよ?」
「はいはい。てかさ、やっぱハッピーエンドだったじゃん」
「うん、よかったよね。男同士なのはビックリしたけど」
「丁度いいだろ。蓮にはさ」
「…そうだね。じゃあ、ご飯食べて帰ろうか」
地下のフードコートに寄って、隼人にドーナツのお土産を買って帰った。
帰りは昨日みたいに会話がなく、とても静かなものだった。
口を開いたのは俺の部屋の前に着いてから。
またね、と一言行って、蓮は自分の部屋に帰って行った。
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