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部屋に着くと直ぐベッドにダイブした。枕に顔を埋め、視界を遮断する。
もう、何も考えたくない。忘れたい。
蓮が彼に向ける優しい笑顔。
見たくない。忘れたいのに、浮かぶのはヘラヘラ笑ういつもの蓮で。
脳にはそれが焼き付いていて離れない。
「尚…」
「んー?」
「らしくないぞ。今日の尚」
ギシリとベッドのスプリングが鳴って、足元が少し沈む。
隼人が俺のベッドに座ったのだ。
「んな事ねぇよ」
「あいつのせい?」
「あいつって誰」
「……蓮」
「ちげぇよ」
「違わないだろ」
いつもより少し低く太い声で言う。その声が近い事に気付いて顔を上げると、驚くよりも先に、隼人の唇が俺の唇に触れた。
でもそれは一瞬で、本当に、軽く触れた程度だった。
ーーーーーバタン
「な、なっ…!」
「あれ、俺…ドア開けっ放しだったか?今ドア閉まる音しなかったか?」
「…へ?そうか?…あ、いや、そうじゃなくて!!何すんだよっ!」
「俺、この前話したよな。気になる奴が居るって。それ、…尚の事なんだ」
「…は?」
「だから、俺は尚が好きなんだって。今言うのもなんだけど……俺と付き合ってくれないか?」
「いや、あの…俺っ」
隼人が俺を?だから最近スキンシップが多かったのか。
お風呂を一緒に入った時、あの、アソコが勃ってたのは…。
「あーーーっ!ごめん無理!!」
「ぇええええっっ!?今なんかすげー断られ方したよ俺…」
あぁ、思い出して勢いで言ってしまった。本当、ごめん。隼人。
「あ、いや…。ありがとな?その、好きって言ってくれて。でも、俺好きな奴いるから….だから、ごめん。隼人の気持ちには応えられない」
「んー、…うん、そう言うと思ってた」
「へ?」
「いや、多分だけど…尚、蓮の事が好きなんじゃないかって思っててさ。何となくだけど、そんな感じがして。でも、さっきハッキリしたわ。蓮があの子連れて来た時、尚、辛そうだったからさ」
「あー、そっか。………バレてたんだ。凄いなぁ隼人は。俺男だぞ?……なのに、告白するなんて。恐くなかったのか?」
俺には無理だったから。蓮が離れるんじゃないかって、恐くて言えなかったから。
ハッキリと言った隼人が、凄くカッコ良いと思った。
「恐くないと言えば嘘になる。同性ってだけで引かれるってやっぱ思うじゃん。でも、伝えないまま終わるよりは、伝えて終わった方が後悔しないだろ。結果がどうあれさ?」
そうかもしれない。
正に、今の俺だ。
「まぁ、今更言うのもなんだけど、あいつに恋人できたからって自分の気持ちに逃げるんじゃないぞ?もし、砕けた時は…そん時は俺の所に来たまえ高安くん!」
「はや、と」
両手を広げてはにかむ隼人に、ちょっとドキッとしたのは黙っておこう。
でも、嬉しくて泣きそうになった。
優しい隼人にどう応えたらいいのかわからなくて、とりあえず、笑っていておいた。
「あ…すげ、超絶スマイルだ。やっぱ俺、お前好きだよ!だから振らないでーっ!!」
「うわぁああっ!だから無理だってば!!」
飛び付いてくる隼人に逃げる俺。
「酷いよ尚ちゃーん」
振られたとしても、隼人みたいにカッコ良く振る舞えたらいいな。
友人の恋人ーENDー
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