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何でこんな事になったのか。
それは、自分が一番よく知っていて、自分が招いてしまった事だ。
最近、手を振っても返って来ない。
横を通っても、過ぎて行く。
尚の隣には隼人くんがいつもいて、穏やかな表情を浮かべている。
もう、限界かもしれない。
このまま冴に流されてしまおうかと、思ってしまう。
「ハンカチ握り締めて何をしているんだ」
「あー、お帰り流。これはね、尚とデートした時に尚に貸して、尚の涙を拭いたやつなんだー。洗わないで取って置いてあるんだよ」
尚がここに染み込んでるから、絶対に洗えない。
尚との思い出は、手に残る物が一切なかったから。
「いつまでそうしているつもりだ」
「んー、なにが?」
「毎日尚尚尚って。いい加減、こっちも苛々してるんだ。さっさと冴って奴と別れて、ぶつかればいいだろう。…まぁ、お前みたいな奴は相手にされないだろうけどな」
「うん、そう思う」
だって尚は、もう俺と目も合わせてくれないから。
「いやいや、待てよ。お前最近暗過ぎて俺が息詰まりそうなんだよ」
「うん、ごめんね、流」
「謝る前に何とかしてくれ」
何とかなるものなら、そうしたいよ。
ウジウジして、女々しい自分に嫌気が差している所だ。
こんなに好きだと解っているのに、何も出来ない自分はどうしようもないヘタレだよ。
今更気持ちを伝えた所で何が変わるって言うんだ。
「はぁ…廊下で、冴って奴が待ってる。そろそろ、終りにして来いよ」
ハンカチを枕元に置いて、流の横を通り過ぎた時、
「尚、最近泣いてるらしいぞ。益川が悩んでたなぁ」
部屋を、飛び出した。
「あ、蓮先輩!」
「あ、冴」
あぁ、冴が待ってるって言ってたな。
「そんなに慌てて、どこか行くんですか?」
「あ、いや…」
何でここで躊躇ってんの。
尚が泣いてるんだよ。早く行かないと。
あー、だからって、
行って、どうすんのよ俺。
「蓮先輩僕に会いに来てくれないから寂しくて会いに来ちゃった!」
冴に抱きつかれて、解けなくて、
俺の唇に冴の唇が重なろうとした時、
「ーーーーーッ!!!」
誰かに突き飛ばされた。
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