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Drei_4
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さわさわと風に吹かれて木々が揺れる
カサカサと小さな音達が重なるとその微かな音は大きな音となり空へと響きわたる
「……蓮…」
ルイスはぼんやりと、蓮の名を呼ぶと窓から見える緑の奥の蒼を見つめた
海はキラキラと太陽の光を受けさざ波が輝いている
その海を見つめるとルイスは蓮の力強い瞳を思い出した
体は本当に部隊長なんてやっていたのかと疑うほどに細く儚いが、その瞳を見ると一瞬でそんな不安は消える。
それほどに蓮の瞳は深く深く澄み通り力強い意志を持った真っ直ぐな目だった
ルイスはそこまで、考えると思考を止め歩き出した
いま頭の中にいる蓮の部屋を目指しルイスは足を進めたのだった。
◇◇◇◇◇
蓮はベットにぐたりと体を投げたし、先ほどトールと名乗った医師の言う通り薬を飲み眠ろうとしていた。
しかし目を瞑ればいろんな感情が溢れ出す
もともと蓮の気性は荒い方だ、
その溢れ出す感情に全身がどくどくと沸きだつ
「…っくそ…!」
蓮はそうつぶやくと瞼の上に手を乗せた
――ウィルは本当にこんな所に売られたのだろうか…こんな扱いを受け続けているのか…
蓮は頭の中に生きる理由となっていた人物、ウィルを思い浮かべるとじわっ涙が滲む
涙を袖口で拭いたとき、部屋の扉が開いた
「………起きてる?」
透き通るような鈴の音のように綺麗な声が部屋に響く
「…飼い主様、起きてます」
蓮はそう答えると涙を拭き取り体を起こした
ルイスは蓮の返事を聞くとそばへと寄っていく
そうして蓮の横へと腰掛けるとルイスは蓮の瞳をのぞき込んだ
「…濡れてる……泣いたの?」
そう言いルイスは白く綺麗な指を蓮の頬に添えた
「っ!」
――パシンっ、そんな音が部屋に響く
蓮はルイスの手を叩きあげてしまったのだ
ルイスは叩かれた手をぼんやりと見つめていた
「…っ、触らないでください」
蓮は自分の口から出た言葉にギョッとした
性奴隷である蓮が主人のルイスに口答えしたのだ
しかし蓮の心は熱で弱っていて頭では辞めろと止めていてもその口からはルイスを否定する言葉ばかりが溢れる
「…触らないでください…家畜なんかに触れるべき人じゃないでしょうあなたは」
「…」
「……何しに来たんですか…家畜が惨めに苦しんでるところでも見に来ましたか?」
蓮は卑屈な笑みを浮かべながら話した
「…蓮」
「名前…覚えたのも俺の事惨めにさせるためか?」
しかし蓮はルイスが自分の名を口にすることさえにも拒否を覚える
ヴァンパイアに飼われ、弄ばれ、家畜のように生きる
それを所望するくせになぜ目の前のこの男は俺を心配した顔色で見てくるんだ
そう思うと蓮の心はぐちゃぐちゃと黒い感情に染められていく
「……名前は…なんとなく」
「…はっ…ペットの名前覚えて楽しいかよ」
「…蓮…泣いてたの?」
しかし、ルイスはそんな蓮の罵倒も無視して再び頬に手を伸ばした
「っん…触んじゃねえ…!」
蓮が再び手を払おうとしたがその手はルイスに捕まり押し倒されてしまった
「…なんで触ったらダメなの?」
「…お前はっ…俺みたいな家畜に触るなんて有り得ないような上のやつなんだろ!」
「………どうゆうこと?」
「くそっ…離せっ!」
「蓮、俺が今質問してるんだけど?」
ルイスはそう言うと蓮の乳首をひねりあげた
「うぁあっ」
蓮は熱に浮かれたその体に突如走った痛みに大きく喘ぐ
ルイスはその様子を見て違和感を感じた
「…蓮ここ誰かに弄られた?」
「さわっ…んな!」
蓮がそう拒否するも虚しくルイスはコリコリと確かめるように手を動かし続ける
「……触られたんだ」
「だったらなんだよ!沢山いる家畜の一匹がどうされようがお前には知ったことじゃねーだろ!」
「…そうだね興味もない」
「だったら…離せ」
「………でも蓮のその声が誰かに聞かれるのは嫌だ」
「は?」
「……。誰に触られたの?」
ルイスは蓮の聞き返した事には返事をせず再び蓮へと疑問をぶつけた
「誰でもいいだろ」
「答えないの?」
「だったらなにか?俺の事殺すか?」
「…」
「お前達ヴァンパイアがなんでこんな事するか分かんねぇけど俺はお前らを絶対に許さねえ…っ」
蓮はそうルイスへと吐き捨てた
蓮から投げつけられた言葉の数々にルイスは何一つ反応を示さなかった。
表情を崩すこともなくただ冷たい瞳でルイスは蓮を見つめていたが先程の蓮に吐き捨てられた言葉にルイスは微かに反応を示した
「…何故、か………蓮、人間はすぐに弱い者を虐げる。人、1人の力では非力でも大勢の数に少数は負けてしまう。強いものは弱いものを支配し、数あるものは数少なきものを縛り上げる。周りと違う異質を見つければ周りは恐れおののき残酷な事でも平気でしようとする。そんな人間だからこそ俺達が支配をして何が悪い?お前達人間は今までどれだけの無駄な争いをした?その犠牲にどれだけの数の助けと祈りの声が世界を覆い尽くしたと思う?」
口数の少ないルイスが急に話し出した事に蓮は驚きただその言葉を聞くことしかできなかった
「…そんな哀れな罪ばかり犯す人間を飼い慣らして何が悪いの蓮?…権力や支配に翻弄されて罪なき人々の命を迷わず奪ってきたのに…」
ルイスはそう言うと言葉を切り蓮の上からどいた。
その表情にはもう蓮を心配している影ななくただ冷たく悲しくどこまで深い深い何か暗い影が顔を見せていた
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