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望まれなかったのだ
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全て忘れてしまった僕に、誰もが涙を流したけど…
そんなことされても困るし、僕には何もできないし。
唯一覚えているもの、それは自分の名前が輝石零斗(きせきれいと)ということだけ。
きっと、自分の名前は重要な事なんだろう。
まぁ、どうでもいいけど。
無関心…
みんなは僕の事をそう言った。
以前の僕は、優しい穏やかで全体的に天才的な力をもっていると有名だったらしい。
今の僕と目を合わせるとみんな、悲しそうな顔をしたり残念そうな顔をしたり、負の感情で満ち溢れた表情をしている。
特に親なんて…
母さんらしい美智子(みちこ)さんは顔を合わせると泣き出すし。
父さんらしい咲藍(さくら)さんは眉間に皺を寄せ険しい表情をする。
僕は、望まれなかったのだ。
……1人……ひとり………独り
寂しくなんてない。
僕が目覚めたときには一人だったんだから。
白い、真っ白い病室。
ここはどこなのか、わからない。
わからない。
寒い、寒くてたまらない。
怖い、怖い…
でも、とても安心するんだ。
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