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四季折の羽:パロディ【四年後の再会】
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パキ、と炭が割れる音がした。
氷のように冷たくなった身体は暖かい何かに包まれ体温を取り戻していた。
目を開くと、赤い火の光が見える。
その前にはあの猟師の背中。
火の光に照らされ黒々と光る美しい黒髪。
あの猟師だ。俺は死んでようやくあいつに会えたのか。
「う……」
その背中に、手を伸ばしてみる。
ようやく、ようやく言える。
あの世で言う事になってしまったけれど、俺はようやくあんたに礼が言える。
まだ重い身体を引きずり、必死に手を伸ばした。
「ん?……目が覚めたか?」
「………」
すると、猟師は振り向いた。
あの顔だ。綺麗な人間の顔だ。
薄らとしか覚えてなかったあの猟師の顔……
「喋れるか?言葉は分かるか?」
「……」
伸ばした手を猟師が握り締める。
暖かい。とても暖かい手だった。
あの世は、こんなに暖かい肌に触れる事が出来るのか……
「う……ぅ…」
でも、声が出ない。言葉が話せない。
ああ。なんだ。やっぱりあの世じゃないか。
こうしてあの人間と会わせてくれても、俺の本当の望みは叶えてくれやしないんだ。
「何か飲むか?酷い顔色だ。」
「……ぁ…ぅ…」
頬を、大きな手が包む。
優しい声が降り注ぎ、心が暖かくなる。
瞳が揺れ、猟師を見上げると、猟師は微笑んだ。
「お前……俺とどこかで会った事あるか?」
「……ぅ…」
ああ。ずっと見たかった。
あんたのその顔が、ずっとずっと見たかった。
「……おい…」
「…えへ…へ…」
猟師の頬にそっと触れてみる。
柔らかくて、すべすべした綺麗な肌。
「……や…と…ぁ…た」
「……?」
精一杯、精一杯微笑み目を閉じると、涙が頬を伝った。
やっと、やっと会えた。
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