アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
四季折の羽:パロディ【一寸の光】
-
顔を上げると、そこには綺麗な顔をした男が俺に手を差し伸ばして立っていた。
人間だ。また、人間だ……
「………」
「そんなに警戒しないで。大丈夫。僕は君の敵じゃないよ。」
「………」
腕を掴まれ、ゆっくりと体を引き起こされる。
男はにこりと笑って、俺の頬に着いた土を拭ってくれた。
「ごめんね。もっと早く助けに入るべきだった。ここは治安も悪いから、不用意に人に話し掛けない方がいいよ。」
とても優しい口調だった。どこか、目の前のこの男は、山の向こうで俺の帰りを待つあいつと重なった。
「……あ、あんたは…?」
それでも、こいつは人間だ……さっきの奴みたいに隙を見せたら俺を殴ってくるに違いない。
一歩後ろに下がり、警戒をしながらも小さく呟き聞くと、男はまたにこりと笑った。
「僕は樹。ここでは町医として働いている者だよ。」
「…?」
「何それ?って感じの顔をしてるね。大丈夫。安心して。」
首を傾げると、こいつは微笑み俺の手を取った。
そして、次にこいつが言った言葉を聞くと、俺の中にわずかな希望の光が見えた。
「僕は医者だよ。」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
16 / 47