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傷と噛み跡/オメガバースパロディ【成海×新】2
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それは焼け付くような熱さだった。
「…っ…は、…新…」
途切れる息の向こうで、幾多の人の手が俺を捕らえようとユラユラと揺れていた。
「あき、ひと…っ…」
「ご、めん…ごめん、新っ…こんなはずじゃ…」
頭が上手く回らなかった。さっきまでは普通だったのに、いつものように、東高の奴らと俺ら鷹中とで交戦中だったはず。
大勢は有利。もうすぐで俺らが勝つという時に、突然変化が起きた。
「秋人…っは、おい…」
体の力が一気に抜け落ち、何かに体を乗っ取られたかのように全身が熱くて制御が効かない。
「オメガ……オメガ……」
「秋人っ」
「俺の……俺のオメガ」
それは、俺を含め、周囲にいた奴ら全員だった。
「や、あ…っ…やめろっ」
初めは自分の体に起こったものが何なのか理解が出来なかったけれど、次第にこれがオメガに起こる発情期の効果なのだと実感した。
俺の一番近くにいた秋人は、オメガのフェロモンに感化されヒート状態に入ってしまっている。
「はぁっ、は、なんだよコレ…やべえよ…っ…」
「ひっ」
喰らい付くように地面に押し倒され、豹変した秋人にシャツをはぐられ貪るように乱暴に扱われる。
「や、や…っ…あき、ひと…」
伸びてくる手はその数を増し、もう敵味方関係なく全ての対象となった時、俺は自分の無力さを思い知る事になった。
理性を無くしたアルファは、まるで獣のように獲物を食らう。
どんなに抵抗しても、その力は凄まじく、犯されるという感覚よりも孕まされるという感覚が恐怖を煽った。
「あらた…っ」
「くっ…」
複数人に押さえ付けられる中、ベロッと秋人の舌が首筋を伝う。
こんな時になって、ちゃんと抑制剤を持っていればよかったとか、首輪を付けていればよかったとか、そんなオメガにとっての初歩的な事を後悔するのだ。
「秋人っ!!」
そしてこの時、俺は何をどうしてもオメガであるという運命から逃れられないと悟った。
「っやめろ!!」
出せる精一杯の力を振り絞り、群がる獣たちを押しのけ無我夢中で走った。
呼吸が浅く、身体中がジクジクと疼く中、精一杯走った。振り向けば、もうそこに俺の居場所は無い。
「っ…はぁっ、あ…あ…」
こんなのあんまりだ。運命は俺から全てを奪い去っていく。
「オメガが逃げたぞ!! 追え!!」
「捕まえろ!!」
「俺のオメガだっ…俺のっ」
追いかける手は俺じゃなくオメガを求める。性の鎖に絡め取られるまるで地獄のような世界。
そんな場所に、俺はオメガとして生まれたんだ。
「あっ…は、あ…あ……」
あの場から離れた路地裏に身を隠す。足が、もう動かない。こんな場所すぐに見つかってしまう。
「はっ、は…う…ぅ…」
奥歯がガチガチと震えた。
こんなの嫌なのに、こんなの俺じゃないのに、湧き上がるアルファを求める欲情が止まらない。
「うっ、う…うぅ…」
バタバタと足音が近づいて来る。その中に秋人がきっといる。
「はぁっ、はぁっ…はっ、ぁ」
俺を守ると言ったアルファが、俺を食おうと俺を探している。
「居たぞ!!」
「っ!! あっ、嫌だっ…」
目の前に広がる獣の群れ。
「いや…だ…誰か…」
俺の中にもう一人居るみたいだ。
「こんなの…違うっ…」
求めたくないのに、欲情にまみれた獣の目に映るのは、恐怖の中でアルファを求めるオメガだった。
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