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傷と噛み跡/オメガバースパロディ【成海×新】6
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「あ、ほんとにオメガがいる」
落ちた書類よりも、目の前に広がる光景に意識を取られる。
「えぇ? まじでいいんすか?」
「会長様にバレたらやばいっすよ?」
扉から足を踏み入れたのは数人の男子生徒。こいつらがベータなのかアルファなのかは分からなかったが、ただ一つだけ確かに分かるもの。
「いいよ。あいつしばらく帰ってこないから」
後ろに構えるのは、圧倒的な存在感を放つ昼間の眼鏡アルファ。
「なっ…んだてめぇらっ」
扉を閉め、カギを掛けてそこに凭れる眼鏡。
眼鏡の他に入ってきたのは三人…この状況、大体の検討はつくけど…
「そうそう…お前確か、出身は鷹中だったよな」
「っ…」
ジリジリと、三人の男に迫られる中、眼鏡が奥であざ笑った。
「せっかく生徒会に推薦されたのに今問題事起こしたら停学じゃ済まないな」
「てめっ…」
最悪だ。俺の素性を知った上で物を言うか。
俺の事を気に食わないと思っているとは思っていたけど、まさかこんな手を使ってくるとはな。
「副会長、ほんとにいいんですか?」
「しつこいんだよ…早くヤれよ」
眼鏡の合図を経て、目の前の男どもの目つきが変わる。
こんな奴ら、ぶっ飛ばすのなんて簡単だ。
でも…眼鏡が言った様に、俺は前科がある。もしここで騒ぎを起こして、トップだった頃の事を学校側に探られでもしたら…
「くそがっ!!」
「あっ! 待て!」
「逃げんなゴラ!」
俺の居場所が無くなる。
「っはは、俺一回ヤッてみたかったんだよ。オメガとさ」
「ぐっ」
扉へと走り出した瞬間、かわし切れず髪を掴まれる。
「んのっ」
「おっとー、はいはい暴れないでねぇー」
反射的に拳を飛ばすが、後ろから抑え込まれてしまった。
顔に伸びる手に噛み付こうとすると、口の中にネクタイを押し込まれシャツを剥ぎ取られる。
「んンっ!ンンッ!!」
「あは、肌白いねー…ちょっと傷があるのは残念だけど」
「ン!?」
生傷の絶えない体。今まで喧嘩をして人を…アルファやベータ達を負かして来た体。
そして、あの日…初めて襲われる恐怖を知った日に出来た傷。
「っは…でも乳首はピンク色でかわいいー」
「ふ…ぅっ」
もう誰にも触れてほしくなかった自分の体。
「ほらこっちも吸ってあげるねー」
「ンンッ、ン――ッ」
こんなとこで、落とされてたまるかっ―――…
「おわっ」
精一杯の力を込めて振り払う。
「痛ってぇ!!」
手と足が使えないなら、頭で突破口を開く。
「こいつっ…頭突きを…」
そして、真っ直ぐ走る。
「っ…はぁ…」
口ん中からネクタイを吐き出し、扉へと真っ直ぐ。
「くそ眼鏡がっ!!」
後ろから俺を捕まえようとする手が伸びているのが分かる。でも、ここで捕まるわけにはいかない。
「退け!!」
近づく程に、気が狂いそうになるこいつの匂い。
「先輩に向かってその口の利き方はなに」
「っ!!」
殴り飛ばしてやろうと思ったのに、あっさりと受け止められてしまう。
「てめぇ…何が目的なんだよ」
掴まれた拳が、ギリギリと音を立てる。
「目的、ねぇ…」
なんともない顔をして眼鏡は笑う。
「お前が気に食わないから」
「なっ」
それはひどく冷たい目。
「迷惑なんだよね。オメガに目の前チョロチョロされるの」
胸倉を掴まれ、引き寄せられる。
「お前が二度と俺の前に現れないって約束出来るなら、ここ通してやってもいいけど?」
「っ……」
気に食わない。…それは俺も同じだ。
「だ、誰がてめぇの言う事なんか聞くかくそ眼鏡死ね」
「…へぇ」
俺はアルファなんて大嫌いだ。特にこいつは。
「じゃ、頑張れよ」
「っあ…」
突き飛ばされるその瞬間がスローモーションのように感じた。
後ろから伸びる手に絡め取られる俺の手は、目の前にいるくそ眼鏡に向かって真っ直ぐと伸びていた。
まるでこいつを求めているかのように。
「ああ、言い忘れてたけど、そいつら全員アルファ」
冷たい視線が向けられる中、眼鏡の言葉に全身の血の気が引いていく。
「せいぜいメスらしく、泣いて喘げよ」
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