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第二話 「情報屋 1」
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「いらっしゃいませ」
刹那はお客さんに笑顔を向けてそう言う。
お客さんが入ってきたと同時に外から風が吹いてきて、そこら中にある飴のほんのりと甘い香りが鼻につく。
* *
あの後、結局泊まる所がなく、常磐さんのところで一夜を明かし、朝早くそっと出ていこうとしたところで運悪く見つかってしまい、常磐さんのとてつもない説得力により、俺はこの家に居候として住まわせてもらうことになった。
暗器を返せ、と言っても家で使う必要はないと渡してくれない。
何故か常盤さんは俺に武器を持つことをとても嫌う。
それでも護身用のために持っておきたいとお願いすると「少なくても3本までだぞ」と言って俺に渡してくれた。
それを左と右の太腿の裏に一本ずつ、あとは浴衣の帯の右の方に一本忍ばせておいた。
しばらくいろんな部屋を見て回ったり、自分が貸してもらった部屋でごろんと寝そべったりしていたけれど、居候として住まわせてもらっている以上、自分も常磐さんのためになにかお手伝いをしたいと思った。
すぐに常磐さんにそう言うと、店の手伝いをして欲しいと言われ、今こうしてお客さんの前に立っているのだ。
今日でここに来てちょうど1週間が経ち、お店のこともいろいろ上手く出来るようになっていった。
初めての日は常磐さんに一から色んなことを教えてもらい、覚えるのに必死で大変だった。
しかし、人間慣れれば簡単だ。
「あの...これ欲しいんですけど...」
さっき店に来た男がいろんな一種類ごとに飴が入れられているガラス瓶が並べられている棚の方で、ひとつの瓶を指差して声を掛けた。
「あ、はい...それはここにある袋に欲しい分だけ入れてもらいやすと俺に渡してくr______ 」
「つーかまーえた」
「へ?」
気が付いた時には後ろから男に抱きつかれていた。
男の肩より少し長い金髪の髪が、刹那の頬に触れるほど体を密着させ、耳元で小さくフフっと笑う。
一気に悪寒が背中に流れて体をジタバタと暴れて必死に抵抗する。
「や、めろ!......やだっ!」
「ふふっ...抵抗してる姿もかっわい...」
「ほんとっ、冗談はよしてくだせえ...ここはお店ですよ?」
「じゃあお店じゃなかったらこんなことしてもいいの?」
「よくないっ!!!」
なんなんだこの人は...!
いきなり人の事を抱きしめては変なことを言ってきて、今はまだお店開いてるのにほかのお客さんが来たらどうすればいいんだよ!
「...もっ...ほんと...苦し、いですから...離れてください」
「嫌だよ、こんなに可愛くて綺麗な子が無防備に近づいてきてくれたんだもん」
そう言うと、またさっきと同じようにフフっと笑う。
「おい、お前そいつになにしてくれてるんだ」
反射的に声のする方へ顔を向けると、襖を半分ほど開けた所に常磐さんが眉間にシワを寄せて、低い声で男に言う姿が見えた。
「別になにも変なことをしてないよ?だからそんな怖い顔しないでって...これでも久しぶりの再開なのに、ね......蒼生?」
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