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罪滅ぼし【ハミィ】
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正直以前の居場所は居心地が悪かった。
ボクはただの、人殺しとしての道具にしか思われてなかったから。
当主の言ったとおり、言われた通りの、人間を殺す。
あの日殺したのは二人の兄弟。
ご主人は同盟であるその兄弟の家をも手玉に取ろうと跡継ぎである二人を殺し、自分の従者をトップに立てようとしたんだ。
そんな汚い計画も、何年か経った後に兄弟の死を不審に思った音道家が調べ上げて、ご主人の屋敷もろとも潰してしまったんだけれどね。
居場所のなくなったボクは、時々対峙していた豺と面識があったため、音道家に引き取られた。
敵対していたとはいえ、変に勘が鋭い豺には、ボクがボクの意思で戦ってるんじゃないとわかっていたらしい。
音道家に来て
びっくりしたんだよ、殺したはずのキミが生きてた事。
屋敷の門番に、殺したはずの兄弟の兄のほうが居た。
音道の当主に話を聞いたら、事件が発覚したのはこの兄が転成して音道家に来たからだとか。
ちょうどお付きを選んでる途中だって聞いて、ボクは自分から名乗りを上げた。
せめてもの償いがしたかった。
最後まで弟を庇って居た強い瞳を殺してしまった償いがしたかった。
頼、というその人は、思って居たより子供っぽくて、強いだけじゃなくて優しい瞳で
知れば知るほど、償いじゃなくただそばに居たいだけになっていた。
「頼、今日も豺さんに挑んで負けたの?」
「うるせーな」
「ふふ、次は勝てるといいね。手当てしてあげるよ」
「おう…ありがとな」
いつもそんなやり取りをして、少し笑って頼はボクの頭を撫でる。
だめだよ。
ボクに、そんな優しい笑顔を向けないで。
そんな温かい手で触れないで。
頼がいつもボクに話す、
「憎い人外」は、
ここにいるよ。
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