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ほむほむお熱【狐白+焔】
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「う"う…ん」
焔が熱を出したらしい。
朝からこんな調子で唸っている。
こんな日に限って秋水は塾の休日講師だし、俺はなんせ人の世話などしたことがない。
馬鹿狐にはいい懲らしめになるだろう
…だが何故俺はこいつの隣に座っているんだ…
「う"う"ん…おーい馬鹿妖狐、水をくれ…」
それが人に物を頼む態度か!?
「誰が馬鹿妖狐だこの馬鹿狐。俺は絶対にお前の言うことなんて聞いてやらん」
「くっ…馬鹿妖狐めせっかく世話を申し付けてやったというのに…」
「絶対に取ってやらん」
「じゃあ自分で取るからいい、どけ邪魔だ」
焔はのそのそと上半身を起こし匍匐前進のように腕だけでずるずると布団から這い出る。
が
ぱたり。
這い出たと思ったら力尽きて倒れる。
「う"う"…」
そんな姿を見せたって絶対に取ってやらん。
「ん、げほっげほっ」
絶対に取らない。
「うう…っ」
絶対に………
「ほらよ馬鹿狐」
気まぐれだ。これは気まぐれだ。
別に世話をやいているわけではない。
「おお…す、すまな、げほっ」
………。
「早く布団に入れ。」
俺は焔の腕を肩に回し、支えながら布団へ寝かせた。
…こいつ案外細いんだな。
「一人で水飲めるか」
「げほっ、馬鹿にするな…っ大丈夫だそれくらい出来る!」
焔は軽く体制を起こし、ペットボトルの蓋を開け…開け…開かない。
いくら捻っても開かない。
「ぐぬ…このくらい…っ」
力んだからか熱で赤い顔が更に赤くなる。
なにやってんだこいつは…
「はぁ…もういい貸せ!」
「あっ」
蓋は思ったより軽く開いた。こいつどんだけ弱ってんだ。
「ほら」
俺はそのまま焔の首を支え口元に飲み口を当てる。
「早く飲め。どうせ自分で飲めないだろ。こぼしたら秋水に怒られるぞ」
「う"う"…くそう…」
焔はおとなしく俺に水を飲まされた。
自然と伏せ目になってなんかちょっと色っぽ………
俺は今なにを思った!?!?
「じ、じゃああとは勝手に寝ろ!!!!」
「狐白」
ふと名前を呼ばれて俺は動作を停止する。
こいついま俺の事名前で呼んだ?え?いつも馬鹿妖狐なのに?
俺が固まってる間に焔は俺の手を自分の額へと当てる。
「お前の手冷たくて気持ちがいい…少し貸りてやる」
ふう、と息をついて焔は目を閉じた。
「な、おま、は?なにキモいこと言っ…」
すやすやと聞こえる寝息。
どんだけ寝るの早いんだよこいつ。いや、
「…そんなに弱ってんのに生意気口叩いてんじゃねーよ」
静かになった部屋には少し雨の匂いを含ませた涼しい風が吹いた。
さらさらと揺れる焔の髪が俺の手を撫でる。
俺の手より熱いこいつの額と、俺の手より冷たい細い髪が触れる感触が少し気持ちいいだけ。
それだけだ。そう、それだけ。
だから少しだけこのままでいてやる。
あれ、俺も風邪移ったのか?
なんか顔が熱い。
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