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過去
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僕は昔、両親を亡くした。
記憶にあるのは、あたり一面血の池の中で1人、叫ぶ男の子がいたことだけ。
僕も事故に巻き込まれて意識は朦朧としていたし、視界はぼやけていたからはっきりとはわからない。
でも意識を手放すまで、悲鳴のような声は僕の耳に届いていた。
事故の原因は相手の居眠り運転だった。
僕の両親は臓器破裂で即死で、僕は声感をやられ、右目を失った。
骨も折れていたし出血も多く、かなり危険な状態だったらしい。
いまでも傷は残ってあるし、最近距離感に完璧に慣れたところ。
それでもあの光景、音、痛みは忘れることなく僕を毎晩うならせていた。
そしてやっと落ち着いてきたときに出会ったのがキセキのみんなだった。
影が薄く、気づかれない僕を見つけてくれた青峰くん。
気分が沈んだ時に一緒に悩んでくれたりして励ましてくれた黄瀬くん。
なんだかんだいいながら面倒見が良くて、いつも心配してくれた緑間くん。
バスケのことで気は合わなかったけど、お菓子を分けてくれた紫原くん。
そして、僕の能力を見出してくれた恩人の赤司くん。
とてもたのしかった。
なんでもない普通の日常がとても幸せで、事故のことから完全にじゃないけど、吹っ切れた感じがしていたら
できればこんな日常がずっと続けばいいなって思っていた。
でもそれは叶わなかった。
この楽しい日々は、たった一人の人がついた嘘で、いとも簡単に崩れ落ちた。
否定はしなかった。
いや、出来なかった。
声が出ない僕はひたすら首を振るしかなくて、必死に口をぱくぱくしていた。
『違います、僕じゃない!』
たったこの一言さえも言えない。
声を振りしぼろうと必死に叫ぶけど、聞こえてくるのはひゅーひゅーと空気の漏れる音だけだった。
信じてくれると思ってました。
だって、僕は仲良くなれたって、仲間だって思っていたから。
だけど、そう思っていたのはぼくだけだったのかもしれません。
だから僕も彼らを信じることをやめます。
だって、彼らが先に裏切ったから。
この溝は修復できない。
ならもっと深く深くして、完全に断ち切ってしまおう。
そう思っていたのに…
やっぱりできない。
だって僕は君たちのことが大好きだから…
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