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2ー06
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そして時間は経ち、生徒がひと通り帰宅した放課後。
流石に少しは反省しただろうとザクロの元に向かっていると、外から荒々しい妖気を感じた。
すると次の瞬間、誰かのけたたましい叫び声が遠くで上がる。
急いで階段を駆け下り生徒玄関から外に飛び出せば、二宮金次郎像に宿る妖…通称ニノが泣きながら俺に気付いて駆け寄ってきた。
「アキ…!!怖いのが山から来たんだ!唐傘が襲われてる!助けてあげて!」
「少し落ち着け!ソイツは何処に」
すると地響きのような唸り声が辺りに響き渡った。
その音と妖気を辿って全速力で走り、視界に飛び込んだのは…一本足に傷を負った唐傘が、軽自動車ほどの大猪に突進されようとしている瞬間だった。
あの足じゃ逃げられない…!
そして泣きはらした唐傘が、悲痛な声を上げる。
「だ、誰かあぁぁぁぁーーッ!」
その時俺は考える間も無く駆け出し、大猪と衝突する直前の唐傘を庇うように抱きかかえ、反対側に勢い良く転がった。
瞬間、轟音がとどろき…校舎の外壁が大きく陥没しヒビ割れる。
あんなもの生身で喰らったら死にかねない。
すると腕の中の唐傘が、安堵したようにまた泣き出した。
「…唐傘、大丈夫か?…っ…」
「うえぇぇありがとうありがとう!でもアキの足がぁ…!」
「っ…ただの掠り傷だから泣くなよ。ほら、危ないから隠れてろ」
「ぐす…う、うん。気をつけて!」
そして俺は唐傘を近くの茂みに隠し、呼吸を整えながら大猪と向かい合う。
やっぱり…慣れない事をするもんじゃないな。
ひとまずアイツの難は回避出来たけど、さっき転がった際…上手く受け身が取れず、左足首を捻ってしまった。
次また突進されたら避けられる自信が無い。
そして地面をひずめで掻き、荒い鼻息と唸り声を響かせる大猪がまた臨戦態勢に入った。
通常では有り得ない大きさ、立ち込める妖気…間違い無い。
「お前…経立(ふったち)の猪だな」
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