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4ー11
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「章人、もう機嫌直してよー」
「うるさい、話しかけるな」
居間のソファーに腰掛け不機嫌を決め込む俺は、21時のバラエティ番組を見ながらザクロを適当にあしらっていた。
けどコイツは何とか俺に構われようと隣に座り、差ほど思っても居ない謝罪の言葉をつらつら並べてくる。
…本当に口先だけは達者な奴だ。
「ごめんなさいって何度も言ってるだろー?今日は章人だってノリノリだったクセに…」
「調子に乗るな!あれはただの不可抗力だ」
「ふーんどうだか…、君の精気、ビックリする位甘ったるかったんだけど?だから俺の息子もビンビンに興奮したワケだし、身体は正直みたいだけどなー」
「し、知るかそんな事!」
黙らせたくて拳を振るえばあっさり受け止められた。
気恥ずかしさに歯を噛み締めれば、フッと微かに微笑まれる。
「そんなに俺をからかって楽しいか…!」
「オレはいつでも大真面目なんだけどねー。しかしまだそんな風に言われちゃうのか…大分分かり易くなってきたのに、結局は君の覚悟次第……って事かな」
「え?」
俺の覚悟って、一体何の話をしているんだ?
一人で勝手に納得するザクロの言葉の意味が理解出来ず、聞き返そうとした瞬間だった。
バシィッ!
「!!」
突然裏山の方に強い妖気の衝突を感じた。
そしてそれは一度ならず、何度も何度も繰り返す。
それをザクロも気付いたのか、俺と顔を見合わせる。
「章人、この妖気…」
「…ああ。それにもう一つ」
別の妖気が此処に近付いてくる。
俺は立ち上がり、裏山側の縁側に向かう。
ザクロも俺の後について来ると、しばらくして茶色の大きな狼が家の外壁を軽々と飛び越えてきた。
普通ではない訪問者の剣幕に、おおよそ察しはつく。
「アキ殿ッ!どうかカジ様を……カジ様をお助け下さい!」
張り詰めた空気。
それと相反する酷く穏やかな静寂の中。
凛とした声が…今から起こる、長い夜へと俺達を導く。
04-end-
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